読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

Nのために 湊かなえ著 東京創元社 2010年

 ネタばれになってるかも、すみません;

 超高層マンション「スカイローズガーデン」の一室で、そこに住む野口貴弘・奈央子夫妻の変死体が発見された。現場に居合わせたのは、20代の4人の男女。それぞれは当日の出来事について証言していく。
 杉下希美は愛媛県の小さな島出身の大学生。スキューバダイビングを通して野口夫妻と出会った。元々趣味だった将棋が高じて貴弘と親しくなり、夫妻の住まいも訪れるようになる。奈央子がこの頃ふさぎがちで家から出ない、という貴弘の言葉から、レストランの出張サービスを利用することを提案、当日はその準備の手伝いをしていた。父親が愛人を作って、母親と弟ともども捨てられた過去を持つ。 
 安藤望も長崎県の小さな島出身で、希美の一学年上。学生時代は同じアパートに住んでいた。努力家で野心家で、でも不器用。自分以外の人間を見下すような傾向があるが、希美には感謝の念があった。希美の影響で将棋とスキューバダイビングを始め、結果、就職先の上司となる野口貴弘と知り合い、やはり希美から手ほどきを受けた将棋で、野口の歓心を買う。当日は食事に招待され、野口の部屋を訪れたところだった。
 西崎真人は作家志望の大学生。野口奈央子の不倫相手。子供時代、母親から受けた虐待を愛情表現と取った西崎にとって、夫・貴弘から必要以上の束縛を受ける奈央子は救うべき存在だった。当日、西崎は花屋の店員を装って、奈央子との逃亡を計る。
 成瀬慎司は杉下希美の高校時代の同級生。料亭だった実家を失い、その頃父親に捨てられていた希美と親しくなる。同窓会で希美と再会、バイト先の高級レストランの話題から、希美に野口夫妻への出張サービスを頼まれる。
 浮気を疑った野口貴弘が奈央子を包丁で刺し、西崎が貴弘を燭台で殴り殺したとされ、西崎は懲役十年に。だが、十年後、四人の独白が改めて真相を明らかにしていく。…


 湊かなえ、四冊目。
 面白かったです。一気に読めました。相変わらず後味悪かったですけど(苦笑;)。
 ただ、今回の後味の悪さは登場人物の性格の悪さとかやりきれなさではなくて、色々小さな疑問符が残ってしまった後味の悪さ。奈央子が自分で自分を刺したのなら、司法解剖その他でそれは明らかにされないかなとか、安藤が何の気なしにかけた外側からのチェーンは、結局誰が外したんだろうとか(成瀬なのかな??)、最後唐突に出てくる希美の病気とか、その時の望み「真相を知りたい」という言葉とか(希美は知ってるよね、どういう意味なんだろう、「真相を明かしたい」ではないんだよね??)。
 何だかんだ言っても、事件の中心にいたのは希美。全ての人物が彼女を通じて知り合い、関わって行く。はかりごとと言うか、仕組んだり計画したり、ってのも彼女だし。
 結局説明不足、なんだろうか。何か読後感すっきりしなかったです。