民話集。
りこうなおきさき
「ヒツジを二千匹、売っておいで。ただし、売れたお金といっしょに、ヒツジも持って帰ってくるのだよ」…王様の出した無理難題を解いたのは、大臣の娘でした。続く「馬にも乗らず、歩きもせずに、着物をきるでもなく着ないでもなく、獲物を土産にもつでもなくもたないでもなく、やってくるように」と言う課題をクリアした娘は、王様の妃になりました。王妃は王様のまちがった採決にも、こっそり異議を唱えます。王様は王妃を追放することにしましたが…。
カメのせなかはなぜまるい
娘と自分が食べるパンを、二人の旅人へのほどこしの分より優先したおばあさん。旅人が再びやって来た時、おばあさんは粉をこねる桶の下に隠れました。
キツツキのくちばしはなぜ長い
近所の人も手を焼くくらいの知りたがり屋のおばあさん。見知らぬ男から袋を預かり、「家に帰るまで開けては駄目だと言われていたのに、途中で覗いてしまいます。中からは、大量の虫が湧いて出てきました。
ウグイスはなぜ声がいい
昔、鳥たちに色がなかったころ。神様は鳥たちを集め、羽に色を塗り始めます。でも、ウグイスだけは泣いている子供を寝かしつけるために歌をうたっていて遅れてしまいました。神様に美しい声を貰ったウグイスは一晩中起きて、色々な歌を覚えます。でも一緒にいたハトは、途中で寝てしまいました。
一寸ぼうし
レンガつみの息子は小さなできそこないのような一寸ぼうしで、でも誰よりも頭がよく、大工の娘は美しく成長しました。二人の生まれる前に親同士がした約束のため、一寸ぼうしは女の子をお嫁に迎えます。一寸ぼうしは実は悪い魔法にかかっていて、女の子があと30日間黙っていてくれたら、本来の姿、立派な若者に戻れるのだとか。しかし女の子は自分の母親に喋ってしまいました。彼女の前から姿を消す一寸ぼうし。悲しみにくれる彼女の前に、びっことめくらの旅人が現れて不思議な話をします。海の向こうの御殿に住み、時に若者の姿に変わる十二羽のハトのことを。
みにくいカラスの子
神様から、自分の子供がきたないと言われてしまったカラスのお母さん。でも世界中のどこを探しても、自分の子供よりかわいいひなはみつかりませんでした。
カッコウとヤツガシラ
森の中で見つけた不思議な木に、村長や町長、王様にしてもらった男。だがどれも三年しかもたない。まだ上の地位を望む男と妻に、木は罰を与える。
しあわせとふしあわせ
ある国の十三番目の子供として生まれたお姫様がいました。姫は国難の原因とされ、占い師によって国を追い出されてしまいます。みにくい顔立ちをした女主人に仕えることになった姫は、彼女に幸運と不運を見せてあげる、と言われます。幸運は彼女のもの、不運は姫のもの。彼女から、不運から逃れるために、彼の持つ赤い絹糸の玉を盗むよう、アドバイスを受けます。
セキレイはなぜしっぽをふる
昔、しっぽのなかったセキレイは、結婚式にお呼ばれされて、ミソサザイにしっぽを借ります。しっぽを着けた立派な自分の姿に、ほれぼれするセキレイ。ミソサザイは何度も返してくれ、といいますが、その気配はありません。
コウノトリはなぜしっぽがない
コウノトリはある日、フローリアと言う若者に助けられました。そのお礼として、フローリアが王様に言われた無理難題、あたまをぶっつけあっている山々の底にある、命の水を取って来てやろうとします。
ウズラとキツネと犬
ウズラは毎年、卵を産むたびにキツネに食べられてしまっていました。困ったウズラが犬に相談すると、犬がキツネを捕まえてくれる、と言います。はたして、キツネと犬の追いかけっこが始まりました。
花の騎士
三人の狩人はある日湖で、若者に変身する美しい鳥を見かけます。とのさまに言われて捕まえたのですが、とのさまの小さな息子は鳥を逃がしてしまいます。ジプシーをお供に、鳥を探す旅に出ることになった男の子。ある国の王様に見込まれて、お城で働くようになります。ジプシーにはそれが面白くなく、王様に男の子が悪魔の馬を連れてきたり、お姫様を狙っている悪魔をとらえたりできる、と吹き込むのです。男の子は美しい鳥「花の騎士」の助けを借りて、その命令を遂行します。… なるほど、由緒正しい昔話。『せむしの子馬』や『イワンの馬鹿』に通じるような、『青髭』や『白鳥の王子』にも繋がるような。ヨーロッパというのはやっぱり繋がってるんですね。
「いちばん愛しいものを」と王様を連れてくるお妃には、「私にはできないなぁ」と素直に思ってしまいました。このお妃、あんな王様を本当に愛しいと思ってるのか疑問なんですけどね、でも処世術と言えば処世術、あたまのいいお妃さま、だもんなぁ。
「いちばん愛しいものを」と王様を連れてくるお妃には、「私にはできないなぁ」と素直に思ってしまいました。このお妃、あんな王様を本当に愛しいと思ってるのか疑問なんですけどね、でも処世術と言えば処世術、あたまのいいお妃さま、だもんなぁ。