読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

桐島、部活やめるってよ 朝井リョウ著 2010年 集英社

 第22回小説すばる新人賞受賞作。

 バレー部の「頼れるキャプテン」桐島が突然部活をやめた。
 田舎の県立高校に通う生徒たちの生活に、小さな、しかし確実な波紋が広がっていく。
 副キャプテンの孝介がキャプテンになり、小島風助はリベロとしてレギュラーになった。
 ブラスバンド部部長の沢島亜矢は、部活中教室の窓から、竜汰、菊池、友弘の三人が放課後バスケに興じるのを見るのが習慣だった。だが「桐島が部活終わるのを待っていた」ためにしていたことだったので、それもなくなってしまった。
 映画部の前田涼也は、中学の時仲の良かったかすみに、今でも思いを寄せている。「イケてるグループ」に入ってしまって、手の届かない存在になってしまった彼女に。
 ソフトボール部の宮部実果はかすみと同じグループで、孝介の彼女。血の繋がらない母親と二人暮らし。ただ母親は、実果を自分の実の娘「カオリ」だと思い込んでしまっている。
 菊池宏樹は野球部の幽霊部員。持ち前の運動神経で、試合時のみの助っ人のようなことをしている。他人の気持ちをあまり斟酌しない彼女・沙奈に同族嫌悪のような気持ちを抱きつつ、「ダサい」グループと言われている映画部の面々に、かすかな憧れを感じ始めている。…


 「○○、××やめるってよ」という言い回しが定着した感のある、言わずと知れたベストセラー。予約本が途切れた隙間に、読んでみることにしました。この間までBSで放送していた『ご本、出しときますね?』と言う、オードリー若林さんと作家さんとの鼎談番組に、作者が出ていた影響も有り。いや、あの番組好きで見てたんですが、見事に普段読んでない作家さんばかり出演されてましたね~;

 朝井さんの作品は、以前『チア男子!!』を読んだことがありました。(アニメ化だそうですね) その作品は、正直、私にはあまりぴんと来なかったのですが(ごめんなさいごめんなさい;)、今回、その理由が分かった気がしました。
 この作家さん、今ある状況、状態を描くのが上手いんだ。成長だとか変化だとかじゃなくて。で、その「状況」を表現する目の着け所が独特で、思わず納得してしまう。

 「この子は大切な一人娘です、と弁当箱の中身が語っている」
 「ピンクが似合う女の子って、きっと、勝っている。すでに、何かに」

 ああ、そうだね、確かに。
 「状況」「状態」を書いてるから、オチというか結末と言うかは無くて当たり前だし。
 でもやっぱりそれぞれの人物の区別が私にはできなくって、登場人物みんな同じに見えてしまったんですけどね。今回あらすじ書くのに読み返して、ようやく「この子とこの子、友達だったのか」と把握した位で(苦笑;)。願わくば、一回で分かるように書いてくれたら有り難かったなぁ、と自分の記憶力のなさを大きな棚の上に置いて言ってみる(苦笑;)。