小説 素敵な選TAXI バカリズム著 ポプラ文庫 2016年

　ドラマの脚本として執筆された作品を、小説にリライトした作品集。
　ネタばれになってるかも、すみません；

第一話　男と女の選択肢

　枝分はケーキセットも自分で選べないほどの優柔不断。時を遡って人生をやり直しできる「選TAXI」の運転手。
　売れない役者・村上は彼女に結婚を申し込むつもりだったが、待ち合わせ時間に遅れたことを切っ掛けに彼女と険悪な雰囲気に。村上は、去っていく彼女を追いかけようと偶然枝分のタクシーに乗り込み時を遡ったが、思わぬ結果を引き起こすことになる。　

第二話　今と昔の選択肢

　昔、町長の娘と恋仲になりながら、己の勇気のなさから別れてしまった平野。今再び、彼女の娘が同じ悩みに苦しみ、駆け落ちを計画していることを知った平野は、何とか成功させてやろうと奔走する。

第三話　愛と人の選択肢

　香西麻里奈は上司の野々山と不倫中。妻の座を手に入れたい、と画策するが、野々山に退かれてしまう事態に。切り出し方が悪かったのか、と麻里奈はやり直しを目論む。

第四話　金と欲の選択肢

　朝倉は些細なミスから、雇い主に馘を宣告されてしまった。落ち込んで乗ったバスの中で、朝倉は宝くじを拾う。何と一億円の当たりくじ、しかも引き換えは今日まで。銀行が閉まるまでに行かなければ、と朝倉はタクシーを拾う。

第五話　女と女の選択肢

　女医の篠崎美佐子は婚活パーティーに出席した。ところが目当ての男性はナースの女性にかっさらわれてしまう。闘争本能に火が着いた美佐子は、彼のハートを射止めるべく、やり直しを選択する。

第六話　おひとよしの選択肢

　大人気漫画『おひとよしレンジャー』連載中の漫画家・虫海暗は、原稿に行き詰っていた。担当編集者・柴山美空は彼に漫画を描かせようとと必死、作品の大ファンの枝分と共謀するが、その度に失恋した友達に振り回されたりして上手くいかない。そのうち、友達の彼氏の浮気相手と虫海の交際相手に思わぬ共通点が…。

第七話　嘘と真の選択肢

　彰との結婚を決めた真理。真理の両親に挨拶したい、という彰の言葉に、真理は渋っていた。何故なら真理は自分が元ヤンだという過去を隠し、両親を悪者に仕立て上げていたから。果たして彼女の言葉との食い違いに、彰は怒って去って行ってしまう。

第八話　夫と妻の選択肢

　祖父の死に目に間に合わなかった佑香。枝分のタクシーで最後の会話を交わすことに成功するが、それで分かった祖父の望みを叶えてやるために、再度時を遡ることに。病院の前で待っていた枝分に、一人の老人が声をかける。

第九話　罪と罰の選択肢

　何の因果か枝分は、コンビニ強盗と銀行強盗を同時に乗せる羽目に。時を遡れ、と命じる二人に、枝分は別の選択肢を選ぶ。

最終話　僕と君の選択肢

　三か月前、恋人に仕事の独立を相談された枝分。そのまま別れ話に移行してしまった話を聞いて、偶然乗り込んだタクシーの運転手が切り出す。「……戻っちゃう？」

　ドラマの方は見ていなかったのですが、小説になったのを機に手に取りました。
　面白かったです。よくこれだけ色々なパターンを思い付くとも。
　第一話と最終話で似たような内容を、別の結果とする構成。三か月間、裏にずっと流れるドラマ『犯罪刑事』も、これ、ドラマ見てたらくすぐられたような感覚になったんだろうなぁ。三谷幸喜作品でも、似たような作りありましたよね。
　ドラマはスペシャル版もあったようですし、続編も作れそう。長編も読んでみたい気がします。