読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

きのうの影踏み 辻村深月著 角川書店 2015年

 ホラー短編集、になるのかな。

十円参り
 ミサキとマヤ、二人の少女の親友なっちゃんが姿を消した。初めからその存在すら無くなっている様子に、恐怖する二人。二人の住む団地の裏山の神社には、“消したい”人の名前を書いて十円と共に十日間賽銭箱に入れ続けると、その人の存在を消して貰える、という都市伝説があった。二人は恐る恐る、賽銭箱の中を確認する。

手紙の主
 作家仲間の間で話題になっているファンレターがある。手書きの便箋に鉛筆で書かれたその手紙は、ファンレターと言いながらその作家の作品は読んだことがなく、とあるラジオ番組に投稿し続ける自分のことが書いてある、という。謎の多かったその手紙は、幾人かの作家を経て段々現実味を帯びてくる。

丘の上
 妊娠九か月の自分が見た夢。丘の上から、犬にパラシュートを着けて飛ばす。その結果…。

殺したもの 
 大学の合宿場で壁に止まっていた何かを潰した「私」。虫だと思ったのだが、その手ごたえはもっと重たくて…。

スイッチ
 電車の中で、突然話しかけてきた女の子。ゴスロリファッションのその子は、聞いていた楽曲を演奏するバンドについて聞いてくる。その子の質問を曖昧に誤魔化して答えて以来、「オレ」は奇妙なものを見るようになる。

私の町の占い師
 出産に当たって、里帰りをしていた「私」。私の実家の近くには、よく当たる占い師がいたとらしい。

やみあかご
 子供の夜泣きにあって、寝室を出た「私」。散々付き合った挙句、寝室に戻るとそこには夫と共に眠る我が子が…。

だまだまマーク
 息子が幼稚園で、変な言葉を覚えてきた。「だまだまマーク」という言葉は何を意味するのか、幼稚園の先生も判らないという。ただ、何年かに一度、それを言い出す子供がいるのだとか。

マルとバツ
 スーパーの前で見かけた女の子は、誰かを待っているような風情。だが店内から出てくると、もういなくなっている。彼女のいた場所にはチョークでマルが描かれていた。二回目、見かけたときにはバツが。

ナマハゲと私
 本場のナマハゲを味わいたい、という大学の同級生と共に、美那子は帰郷した。二階で紅白歌合戦を見ている間に、ナマハゲはやってきたらしい。

イムリミット
 年に一度、県内で行われる残酷な隠れんぼゲーム。今年は「私」の学校が選ばれたらしい。『敵』が乱入してくるまでの間、「私」は妹を隠し、意地を張っていた元彼に電話をする。

噂地図
 学年一の美少女・山口さんが、鳥飼くんにふられたらしい。なのに、二人が付き合っている、という噂が流れている。どうしてそんな噂が立ってしまったのか、元を突き止めてほしい、と頼まれた晶子は、噂地図を作ることを提案する。

七つのカップ
 通学路の横断歩道で事故死した女の子がいる。無責任なテレビ番組が、そこに女の子の霊が見える、と言い出したことから、その少女の母親が毎日立つようになった。「自分の子の霊が、一人寂しくしているならかわいそうだ」「その上、人を巻き添えにしているなら本当に申し訳ない」と言って。…


 怪談というのは似るものなんだろうか、と思いつつ。辻村さん、小野不由美さん好きだもんな、とちょっと思ってしまいました。『鬼談百景』と何だか雰囲気似てる気がして。でも最終話『七つのカップ』の温かみのあるエンディングは、辻村さんならではでしたね。
 『タイムリミット』は何だか長編になりそう、でもまぁ一時期よく見た設定である気はするんですが、辻村さんはこう味付けする訳ですよね。『ナマハゲ』もそうなんだろうな、と思いながら読みましたし。
 『私の町の占い師』、タクシーの運転手さんの、みんな同じ要領で行く場所を説明するので「新興宗教かと思った」って言うのは、なるほど、と思いました。実話なんでしょうね(笑)。 
 佐藤さとるさんの『コロボックル』シリーズ読み返してたところでの『殺したもの』は少々おっ、と思いましたよ。何でこのタイミング…!(苦笑;) 続き読もうと思ってるのに。