読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

武士道ジェネレーション 誉田哲也著 文藝春秋 2015年

 シリーズ4冊目。
 剣道少女たちの「武士道」シリーズ、6年ぶりの最新刊。

 宮本武蔵を心の師と仰ぐ磯山香織と、日舞から剣道に転進した変り種の甲本(西荻)早苗。高校を卒業後、早苗は一浪ののち、大学の文学部で日本文化を専攻。だが、留学生との文化や歴史認識の違いから、早苗の中に、次第に外国人に対する苦手意識が芽生える。卒業後は浪人時代から付き合い始めた充也とすぐに籍を入れ、桐谷道場裏手のマンションに新居を構える。
 一方、香織は、剣道で大学に進学して、数々のタイトルを獲得。桐谷道場では、玄明の代理で小中学生の指導もしていた。ゆくゆくは警察官になろうと考えていたが、女性で助教になるのは難しい。教員になる道を考えるがいかんせん、頭がよくない。
 そんななか、道場の師範である桐谷玄明が倒れた。身体に不安を覚えた玄明は、江戸時代から続く歴史ある道場を閉鎖しようと決意。充也に伝えるが、桐谷の血を引く充也は、警官を辞めてでも道場を継ごうとする。しかし、玄明に警官としての職務を全うするよう諭され、充也は、道場の後継者となることを断念させられてしまう。
 就職も決まらず、師範代見習のような立場の道場にいた香織は、これ幸いと「だったら自分が道場を継ぎます」と申し出る。ところが充也によれば、香織には桐谷道場の後継者になる資格が、そもそもないのだという。後継者には、桐谷道場に密かに伝わる「シカケ」と「オサメ」と呼ばれる形を習得する必要があった。どうしても道場をなくしたくない、充也と香織は、誰にも告げず、血の滲むような特訓の日々を始めるが、二人の異変に早苗がいち早く気づく。
 そこに、日本文化に興味津々のアメリカ人、ジェフが桐谷道場に入門してくる。母校で職員をしながら道場で充也の手伝う早苗は、苦手な外国人との生活に戸惑いを隠せない。そして、早苗は道場の中学生、大野悠太のことでも気を揉んでいた。
 悠太は帰国子女の同級生・宮永創に地区大会でボロ負け、香織の教えである「武士道」についてもケチをつけられ、すっかり稽古をする気を失くしていた。
 話を聞いた香織は、悠太に特訓をつけるが、連日の稽古で疲労困憊の香織に、早苗は、堪らず香織を止めに入る。「……だったら、お前が悠太に稽古をつけてやれ」と言われ、渋々道着に袖を通す早苗。悠太は早苗との稽古、そして道場を守ろうと必死に戦う香織の背中を見て次第に自信を取り戻していく。
 はたして、香織は道場を継ぐことができるか。そして、悠太は、宮永に勝つことができるのか。この勝負、如何に――。
 香織と早苗、それぞれの方法で道場を守ろうと奮闘する姿を描く「武士道」サーガ第四弾。
                                    (出版社HPの紹介文等を切り貼りしました)


 内容を忘れないためにも粗筋はできるだけ自分で書こうと思ってるんですが、何か今回は本当に進まず; で、出版社のHPに行ったら何だか妙に詳しいあらすじがありまして、で、そのまま写してしまいました;;
 早苗は本当に剣道やめてしまっていて、何だか残念。それを補うかのように黒岩レナが香織への対抗心を燃やします。対する香織の態度はまるであしらうかのよう。…大人になった、のかなぁ(笑)。香織にプロポーズしたのが外国人、ってのは、確かに日本の男では相手にならないかも、と思いましたよ。
 妙に違和感があったのは、早苗が自身の歴史観を声高に主張するようになっていて、「…早苗、何時の間に??」。最後の方のエピソード「シカケ」や「オサメ」に収束するための布石なんだと解っても、やっぱり首を傾げました。
 小中学生の頃にあったような身近な出来事を考えてみても、やられた側は嫌なことを覚えていても、やった方は全然自覚がなかったり覚えてなかったりしますもんね。自虐史観がいいとは思いませんが、私は、この頃TVでよく流れてる「本当は日本はこんなに素晴らしいんですよ」的な考え方の方が胸がざわつきます。戦前ってこんな感じじゃなかったのかしら、とか、こういうことは他人に言って貰うことで、自分で主張してもかっこ悪いだけなんじゃないかしら、とか。
 剣道少女二人に久しぶりに会えたことは嬉しかったんですけどね。相変わらずの紅白二本の栞紐も。