読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ジャイロスコープ 伊坂幸太郎著 新潮文庫 2015年

 短編集。

浜田青年ホントスカ
 <スーパーホイホイ>の駐車場で稲垣さんに声をかけられた浜田青年。なんだかんだで稲垣さんの営む相談屋の助手をすることに。一週間後、浜田は稲垣の意外な事情を告げられる。曰く、稲垣はとある人物から、浜田をこの町に一週間引き留めておくよう依頼されたらしい。

ギア
 荒涼とした大地を進むバス。そこに乗り込むことになった乗客に、運転手は謎の生物「セミンゴ」について語る。一匹いれば必ず十匹いるセミンゴのことを。

二月下旬から三月上旬
 小学四年の時に出会った坂本ジョン。高齢者相手の詐欺を働くようなこの友人の巻き添えを食って、「私」慈郎も大怪我をしたり。坂本ジョンの正体は。

if
 通勤バスでバスジャックにあい、その時何もできなかった自分を後悔している山本。もし、あの時、ああしていれば。

一人では無理がある
 松田陽一はサンタクロースの仕組みである組織で働いている。とにかくケアレスミスが多いが、そのミスが何故かいい風に転がる。ある子供にはうっかりプラスのドライバーを贈ってしまったし、ある子供には何故か鉄板が差配されてしまった。でも、何故かそれが役に立つ。

彗星さんたち
 新幹線の中の清掃をしている「わたし」二村。パートの先輩鶴田さんはパウエル国務長官の言葉を座右の銘にする、とにかく頼れる人。その彼女が倒れた日、新幹線の中で出会った人たちが、まるで鶴田さんの人生を連想させるような人ばかりで…。

後ろの声がうるさい
 新幹線の後ろの席に座った男二人の会話がうるさい。どうやら顔見知りでもない様子、何か書き物をしている様子の中年男に、若い男が「記者だ」と名乗ってやたら話しかけている。この新幹線に乗っているとある女優を追いかけているのだとか。若い男が席を立った途端、中年男は若い男の荷物を漁り始めた。…

 十五年を振り返って 伊坂幸太郎インタビューも収録。


 ああ、これはもう伊坂さんだ、としか言いようのない短編集。面白かったです。
 一見、何の関係もないような事柄が繋がっていく面白さ、爽快感。その分、『二月下旬から三月上旬』なんて、粗筋が書きにくいことこの上ない。だってそのままネタばれになっちゃう(笑)。
 『ギア』のセミンゴで連想したのは『テラ・フォーマーズ』のあの進化したゴキブリ。…怖いよう、気持ち悪いよう;; いや、外見とか違うように書かれてるんですけどね、これはいやだなぁ;; 退治する所まで書いてくれないかしら。
 かと思うと『一人では無理がある』なんて、いきなり心温まるような話まで書いちゃうんだもんなぁ。
 巻末のインタビューも面白かったです。伊坂さん、意識して作風変えてたんですね。第一期、第二期とか呼ばれているとは知りませんでした。でもごめんなさい、私第一期の作風好きです(苦笑;)。