読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

モルフェウスの領域 海堂尊著 角川書店 2010年

 日比野涼子は桜宮市にある未来医学探究センターで働いている。
 東城大学医学部から委託された資料整理の傍ら、世界初の「コールドスリープ」技術により人工的な眠りについた少年・佐々木アツシの生命維持を担当していた。アツシは網膜芽腫が再発し両眼失明の危機にあったが、特効薬の認可を待つために五年間の<凍眠>を選んだのだ。だが少年が目覚める際に重大な問題が立ちはだかることに気づいた涼子は、彼を守るための戦いを開始する——。
 人間の尊厳と倫理を問う、最先端医療ミステリー!                   (出版社紹介文より)



 いよいよSFチックになってきたシリーズ。とはいえドラッグ・ラグだの患者の人権だの、今日的な問題点も含んでいるんですが。
 佐々木アツシの境遇にはちょっとびっくりでしたね。両親、離婚しちゃ駄目じゃん…! というか、何引き取り拒否してるんだよ、無責任な;
 患者の人権について日比野涼子とメールで議論を戦わせることになる「ゲーム理論」の曾根崎教授、という人物が、どこかで出て来た気がするのに思い出せず(…;)、思わず検索。…そうか、『ジーン・ワルツ』や『マドンナ・ヴェルデ』の曾根崎理恵の旦那さんか…! というか、佐々木アツシも『医学の卵』やら何やらで出て来てたんですね! 勿論、田口先生や看護師の如月翔子等、懐かしい名前もありました。
 スリーパー・マシンの開発者 西野やノルガ共和国で涼子に実践的な医学知識を叩きこんだ医務官、ってのも後々再登場するんでしょうか。
 時を越えて、お互いがお互いを交互に追いかけっこする何だかロマンチックな展開。後味のいい作品でした。