読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ブラック・ベルベット 恩田陸著 双葉社 2015年

 T共和国を舞台にしたロード・ノベル。
 ネタばれになってるかも、すみません;

 外資製薬会社に身を置く凄腕ウイルスハンター・神原恵弥。T共和国にて行方不明になった、植物による水質浄研究の第一人者 アキコ・スタンバーグ博士の捜索を依頼された。製薬会社の見本市へ参加がてら、T共和国にやってきたが、恵弥の目の前で博士は刺殺されてしまう。一方、この国では全身を黒い苔で覆われて死んだ人間がいるらしいとの噂が流れていた。
 恵弥は、見本市への参加を促した謎の人物「アンタレス」の指示に従い、現地で焼き鳥屋のチェーン店展開をしている高校の同窓生・時枝満と共に、T共和国内を一巡りするような観光に出かける。
 塩の湖、カッパドキア、エフェソス遺跡。途中地元の警察に麻薬所持の疑いをかけられたり、ビジネスで滞在中のかつての恋人・橘浩文に出会ったり。
 D・Fと呼ばれる謎の薬、武器密輸、化学兵器パンデミック。さまざまな噂だけが恵弥を取り巻く。
 恵弥が想像だにしない、これらの背景に存在するものとは――?
                                  (出版社HPの紹介文に付け足しました)


 
 シリーズものの第三弾なんですが、前二作の内容をすっかり忘れておりまして。でもさすがに神原恵弥のキャラクターは覚えておりました。女言葉の男の人いたよなぁ、ってレベルで。(←こらこら;)
 「T共和国」と仮名にしてはいるけど「イスタンブール」等々の都市名はそのままの記述、明らかに舞台はトルコでしたね。恩田さん、このために取材旅行に行ったのかしら、羨ましい。パムッカレ、地震で水涸れちゃったのか、残念。
 風呂敷を広げた割には結末はあっさりしたもので、肩透かしの感はなきにしもあらず。そうそう、アンタレスの正体についてはちょっと察しがつきました。この条件が橘に当てはまるなら、満もそうじゃん、てな感じで。実際はそう深刻なものではなかった訳ですけど。
 でも恵弥を中心とする会話のやりとりは楽しくて、そうそう、恩田さんこうでなくっちゃ、と読んでる間中嬉しかった。
 …駄目ですね、恩田作品に関しては公平な目が保てない(苦笑;)。