読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

はなとゆめ 冲方丁著 角川書店 2013年

 わたし清少納言は28歳にして、帝の妃である中宮定子様に仕えることになった。
 華やかな宮中の雰囲気に馴染めずにいたが、17歳の定子様に漢詩の才能を認められ、知識を披露する楽しさに目覚めていく。貴族たちとの歌のやり取りなどが評判となり、清少納言の宮中での存在感は増す。
 そんな中、定子様の父である関白・藤原道隆が死去した。叔父の道長が宮中で頭角を現し始め、定子の兄・伊周や弟・隆家が失脚して流罪に。中宮定子が一人一条帝の心を掴んで道長に対抗する状況に、やがて道長も定子にターゲットを定める。そんな一族の権力争いに清少納言も巻き込まれていき…。
 『天地明察』の異才が放つ最新歴史小説!
                                    (出版社HPの文章に付け足しました)


 この題名はインパクトあるなぁ、なにしろ漫画好きなら必ず通る少女漫画雑誌と同じなんだもの。
 清少納言については、確か田辺聖子さんが書かれた小説『むかし あけぼの』を読んでいたので、多少予備知識がありました。何しろ昔のことなので記憶は随分薄れてるんですが、でもちょっと印象が違ったなぁ。こっちの清少納言の方が、定子によりいっそう一途でおとなしい雰囲気。恋愛沙汰もあるし(笑)。
 『枕草子』に、自慢たらたらで鼻持ちならないという印象を持っている人は結構いるそうで(でも私は『源氏物語』の方が陰湿で高飛車なイメージがあるんだけど)、それを田辺聖子さんは天真爛漫に嬉しさ一杯で書いた、という風に取り、冲方丁さんは「これを認めて引き出してくれた定子様がどんなに素晴らしい方だったか」を残すための手段として書いた、という感じ。
 それでなくても、今まで自分ひとりでしか楽しめなかった事柄を、何気ない一言でも理解して面白がって返してくれる、話が盛り上がる嬉しさ楽しさ、ってのは現在でもよくあること。オタクな趣味を持つ私にしてみればもう心当たりありまくりで(苦笑;)、共感できましたね~。
 清少納言と同じコンプレックスを抱えた行成との関係も、すっと入って来ましたし。
 それにしても、どこまでが史実でどこまでが創作なんだろう。定子が最後まで一条帝の寵愛を受け続けた、彼女のサロンが一条帝の一番のお気に入りだった、というのは他でも読んだことがあるので、本当にそうだったんでしょうね。
 定子の兄弟がもう少し分別があって賢かったらなぁ。ちょっと情けなかったです。