読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

手のひらの幻獣 三崎亜記著 集英社 2015年

 ネタばれになってる気がします、すみません;

 動物のイメージをあやつる異能力者の日野原柚月は、同じ能力を持つ者たちが所属する会社ハヤカワ・トータルプランニングに勤めて早10年。孤独ながら安定した日々を送っていた。そんなある日、出来たばかりの新研究所を警備する業務を任される。しかしそこには異能力者のパワーを増幅する禁断の存在が隠されていて…。
 近くて遠い並行世界を描き出す2つの中編を収録。                   (帯文より)


研究所
 新しい研究所では、過去の戦争の遺物「表出実体」ナナイロ・ウツツオボエの力を、潜在能力の高い新人・ゆみちゃんを利用して覚醒させようとする実験が繰り返されていた。日野原柚月は不安を覚えつつ、同僚・高畑と共に警備任務に就く。開所式当日、公開実験の日に、同じ敷地内で複数の表出者を使った並列表出によって、もう一体ナナイロ・ウツツオボエを表出させ、表出実体にぶつけようとする計画があることを、柚月は知る。表出実体の暴走を止めることはできるのか。そこに、自身も類い希な能力を持つ社長が立ち塞がる。自分の内面の危機も顧みず、半ば嬉々として。

遊園地
 同僚の「たくやくん」と組んで動物を表出する毎日を送る柚月。ある日「幽霊が出る」と噂のある遊園地で、たくやは誰かに呼ばれた気がする、と言い始める。だが、その実体は掴めないまま。やがてその遊園地で、300人の子どもを人質にした立て籠もり事件が起きる。たくやと共に遊園地に潜入した柚月は、そこで不自然に遊び続ける子どもたちと、「幽霊」の正体――「そら」と名付けられた女の子と出会う。彼女は、並列表出させられている女の子たちの、純粋で「負」の部分の表出だった。…


 以前にちらほら出ていた日野原柚月さんのシリーズ、集大成。
 ただ、以前の短編の内容をあまり覚えていなくてですね、日野原さんヒノヤマホウオウ出してたなぁとか、夜中の図書館で本が飛び交ってたよなぁとか、断片的な記憶しかない(←こらこら;)。社長の存在とか、本気で忘れてました。もう、そんな人いたっけ状態(苦笑;)。こんなに重要人物なのにね。
 連想したのは椎名高志著『絶対可憐チルドレン』。以前の短編では思わなかったのになぁ、戦争中の能力者の利用のされ方とか、現状とか、何だか凄く似てる気がしました。「たくやくん」の在り方とかも。と言うわけで、「たくやくん」の正体には気がついてしまいましたねぇ。若宮さんも察しがつきましたし。
 何なんだろう、好きだったシリーズの筈なのに、何だか乗り切れませんでした。以前2作目で日野原さんに会ったときは、「あら久しぶり、懐かしい」って嬉しかったのに。このシリーズに関しては、大きな事件に巻き込まれることなく、淡々と業務をこなす日野原さんを見たかったなぁ、と言う気がして仕方が無い。いや、勝手な希望なんですけどね。