読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

火星に住むつもりかい? 伊坂幸太郎著 光文社 2015年

 ネタばれあります、すみません;

 住人が相互に監視し、密告する。危険人物とされた人間はギロチンにかけられる――身に覚えがなくとも。
 交代制の「安全地区」と、そこに配置される「平和警察」。この制度が出来て以降、犯罪件数が減っているというが…。
 今年安全地区に選ばれた仙台でも、危険人物とされた人間が、ついに刑に処された。こんな暴挙が許されるのか? そのとき! 全身黒ずくめで、謎の武器を操る「正義の味方」が、平和警察の前に立ちはだかる!
                                             (帯文より)

 あらすじを書こうと思ったのですが、どこから手をつけたものやら迷った末挫折; いや、ややこしいよ、これ;; 
 読み始め、まず思ったのは「伊坂さん、嫌な話書き出したなぁ」ということ。いやもう、「狙われたらもうおしまい」っていう魔女狩りな設定も嫌だし、勿論拷問も嫌だし、公開処刑を心待ちにするような精神性も嫌だし、数珠つなぎ的に女の子を襲ってる輩も嫌だし。
 現代日本的な舞台設定でレジスタンス活動、ってのも何だか無理があるし、どうやって解決するのかしら、とずっと思いながら読んでました。
 ばらばらに見えた数々のエピソードが繋がる展開。理髪店での客と店主の会話、平和警察の横暴からくる事件のもみ消し、他人を楯にする癖がある警視長、上司に徹底的にごまをする部長、しかも中にはミスリードもあるし。ずっと怪しかった大学院生の鴎外君の結末には、本当に驚いたし残念でした。
 ただ、これは私に問題があるんですが、この頃記憶力が衰えてですね、前半の細かなエピソードを覚えていられない;; 「あれ、これ誰のエピソードだっけ」「この人、多分あの人のことだよね??」等々、記憶の中をうろうろしながら読む情けなさ;; いや、もう一回読んだらいいんですけどね。
 さすが、面白くはあったんですが、前半が嫌すぎて読み終えても私はあんまりすっきり爽快になりませんでした。この国ではやっぱり内部から這い上がって変えていくしかないのね~、としんみり思ってしまった。内部がすっかり腐敗してたらもう打つ手ないんだなぁ、と。
 昔読んだSFに、国民全てが番号で呼ばれて管理された自由のない管理社会、ってパターンの話がよくあったんですが。何だか現実も近づいていってるみたいで不安です。