読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ラ・ミッション 軍事顧問ブリュネ 佐藤賢一著 文藝春秋 2015年

 ネタばれというか、それらしきことは書いてしまいます、申し訳ありません;

 江戸幕府に招聘され、幕府の精鋭部隊「伝習隊」を近代的に鍛え上げたフランス軍事顧問団。
 彼らは母国からの帰還命令に背き、教え子たちとともに、戊辰戦争に身を投じることを決意する。
 「先生方が指揮を執ってくださるなら、我らとて戦える。ようやく、まともに戦える」
 激しく揺れる幕末の日本を、フランス人の目から描いた意欲作。          (帯文より)

 幕末、薩長についたイギリスに対抗して、フランスは幕府軍の後ろ盾となった。精鋭部隊「伝習隊」を近代的に鍛え上げ、さあ今から実践、と言う段になって鳥羽伏見の戦い徳川慶喜は自らの軍隊を見捨てて大阪から江戸へ逃げ帰ってしまう。
 それでも兵力はまだまだ幕府軍の方が上、再戦すればこちらが勝てるとの見込みを、慶喜勝海舟もあっさりと捨てる。徳川のためにと闘う東北軍を見捨てたとしか思えない政策に、フランス軍事顧問団の一人・ブリュネ中尉は歯噛みする。センセイ、センセイと慕ってくれる生徒達を見捨てるわけにはいかない。外国軍は日本政府の内乱には手を出さないという局外中立の約束をイギリス軍が破って、会津戦に700人もの兵を投入していたと聞いたブリュネは、自分もフランス軍に辞表を出して、幕府の残存兵士の指揮をとることを決意し、函館に向かう。
 だが、幕府軍は次々に不運に見舞われた。嵐にあって軍艦は5隻に減り、しかも舵がねじ切られるなど満身創痍状態。ならばと新政府軍に入った新型船を奪おうと目論むが失敗、かえって多くの仲間と、やはり軍艦を失ってしまう。
 陸軍なら負けない、最後を決めるのは海軍ではなく陸軍だ。自らをそう奮い立たせ、ブリュネたちは五稜郭でミカド政府の攻撃を迎え撃つ。…


 いやぁ、このラストは衝撃でした。こんな展開あり?? 義経の大陸渡航説みたいなのが?? そう言えば佐藤さん、『傭兵ピエール』でもこんな感じにしてましたっけ。
 幕末の知識はほぼないので、色々新しい知識が増えて楽しかったです。幕末にフランスも関係していたとは知らなかった。作中のエピソードがどこまで本当なのか、特にブリュネたちの心情なんかがどこまで真実と沿っているのかは分かりませんが、でも手紙の内容なんかはそのままでしょうし。フランスに帰ったブリュネたちはが英雄扱いになっていた、ってのも史実なんだろうなぁ。
 ブリュネの奥さんや子供はどうなったんだろう。この本を読む限り、徳川慶喜勝海舟って本当にイヤな奴なんですけど;; で、イギリスも嫌な奴でした。