読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

家族シアター 辻村深月著 講談社 2014年

 七つの「わが家」でおきた、忘れられない七つの「事件」  (帯文より)
 ネタばれになってるかも、すみません;

「妹」という祝福
 同じ中学に通う、真面目で冴えない姉と、その姉を反面教師にしたイケてる妹「私」。

 アイドルオタクの弟と、そんな弟をきつい言葉で馬鹿にするバンギャ(バンドのおっかけギャル)姉。

私のディアマンテ
 夫に似て頭のいい高校生の娘えみりと、華やかなものが好きな母親はどうにも反りが合わない。娘への心配は空回りするばかり。そんな娘の異変に、ある日気付いてしまう。

タイムカプセルの八年
 大学準教授の父親は、自分の研究にばかり熱心で、息子のための行事にはまるで疎いし、参加するのもいやいやで周囲から顰蹙を買っている。だが小学六年生の時の担任はとにかく熱心で、父親も巻き込まれてしまう。息子が憧れ、教師を目指す切っ掛けになった担任は、だが子供たちの卒業記念のタイムカプセルを、放置したままにしていたらしい。

1992年の秋空
 宇宙に憧れる妹うみかと、そんな妹にコンプレックスを抱く姉はるか。

孫と誕生会
 長男一家が、帰ってくることになった。同居してみると、孫の実音の行動がどうも自分には不可解だ。ひ弱でいつも不機嫌に見える孫、たまたま知り合った同級生に比べると、積極性にも社交性にも欠ける気がする。

タマシイム・マシンの永遠
 「ドラえもん」の道具の話題を切っ掛けに知り合い、結婚した妻と息子を連れて帰省した「俺」。孫やひ孫を可愛がる両親や祖母の姿に、ある記憶が甦る。…


 どの話も面白いなぁ、と思って読んでいたのですが、最後の『タマシイム・マシン』にはやられましたね。帰宅途中の電車の中で、涙ぐみそうになって慌てました。
 羽海野チカさんの、暗記パンを題材にしたトリビュート漫画でもそうでしたが、『ドラえもん』へのオマージュ作品ってどうも泣けてきていけない。これは藤子・F・不二雄自身の、家族への愛情が見事に透けて見えるから、ってのもあるんだろうなぁ。こんなに愛して貰いました、こんなに愛しています、っていうのが。かの有名な『のび太結婚前夜』でのしずちゃんのパパの台詞、しずちゃんの産声を「天使のラッパみたいにきこえた」ってのは、多分本当に自分の娘が産まれた時に思ったことで、そんなふうに描かれたら、そりゃ娘はグレられないよなぁ、と思いましたし。
 装丁も可愛いですねぇ。ドールハウスの家具のような、グリコのおまけのような。ドライヤーにこっそり繋がる受話器も可愛い。