読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

不思議プロダクション 堀川アサコ著 幻冬舎文庫 2014年

 青森の弱小芸能事務所を舞台にしたファンタジーミステリー。

第一話 ものまね
 シロクマ大福は、青森を活動の場とするものまね芸人。東京に打って出る度胸はなく、さりとてこのままでいいのかと悶々と過ごす日々を送っている。
 ある日、司会した地元銀杏銀座商店街の夏祭りイベントで、大福はシゲタシゲルと名乗るものまね芸人と出会う。明らかにレベルの違う上手さに舌を巻いていると、酔っ払いのおっさん三人がステージ上に上がりこんで絡んできた。乱闘の末行方をくらませてしまったシゲタシゲル、後に彼は芸人ではなく、通りすがりの素人だったことがわかる。
 大福の所属する伏木プロダクションの女社長は、その芸達者振りに惚れ込み、シゲタシゲル(仮)をスカウトすると言い出すが、何しろ行方がわからない。大福に捜索命令が下り、大福は乱闘騒ぎをおこした酔っ払いに会いに行くことに。どうやら三人とシゲタは同級生で、シゲタの母親はその昔、会社の金を着服した過去があるらしい。だが大福は、その事件に疑問を抱く。シゲタは何のためにこの町を再び訪れたのか。

第二話 超能力
 オモチャ屋の女性店員に超能力が芽生えた。とある家庭に配送した後、いきなり断片的に未来が見えたり、失せ物探しができたりするるようになったという。ファッションビルの同じフロアで開業している占い師のクロエ(本業・マジシャン)が、社長から調査とスカウトを命令された。クロエは大福と共に、きっかけになった家を訪れることから始めてみる。

第三話 イリュージョン
 伏木プロダクション所属のロックバンド デイジーは社長の切り札、これで東京進出を図ろうと目論んでいる期待の星。そのボーカル・ヒロがファンの女の子に恋をした。ヒロがぞっこん惚れ込んだその少女は、十字村出身だとか。折も折、その村の村おこしイベントに大福が呼ばれることに。当日、海辺にある村の沖に、不思議な島が浮かび上がった。怯える村人たちを前に、その島「ひかり島」に向かって漁船が一艘動き始めた。前日から行方不明のヒロは、その島と関係あるのか。

第四話 降霊術
 大福の芸 イタコおろしを見て、本当に降霊術ができると思った客から、死んだ息子を降ろして欲しい、という依頼が来た。依頼主は地元の菓匠 故郷堂のご隠居、大福は適当に話をあわせてお茶を濁すつもりだったのに、何故か本当に息子を降ろしてしまった。以降、命を狙われる大福。息子の姪も行方不明になっているらしい。やがて大福は息子の死の真相に気付き、一芝居打つことにする。…


 ファンタジーとミステリーの融合具合、って難しいよなぁ、とちょっと思ってしまいました。不思議を解くのがミステリーなら、解けない不思議がそこにあるのがファンタジー。どこまで存在を許すのか。全てが解けた後で、「…あれ、そういえばあれは??」と首を傾げる、そのくらいの混ざり具合が、個人的には好きかなぁ。
 ミステリーと銘打つ必要があったのかなぁ。事件自体は「多分そうだろうな」と察しがつくものもありましたし。これ、シリーズ化されるのかしら。面白くなかった訳では決してないんですが。