読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ビブリア古書堂の事件手帖4~栞子さんと二つの顔~ 三上延著 メディアワークス文庫 2013年

 『ビブリア』シリーズ4冊目。
 ネタばれになってるかな、すみません;

 ある日ビブリア古書堂を訪れた女性客は、栞子の母親を訪ねて来た。いなければ、古書に詳しい人を、と。江戸川乱歩の膨大なコレクションを売る条件として、ある謎を解いて欲しい、と言う。
 コレクションの元の持ち主は故・鹿山明。家族に内緒で別宅を持ち、そこに女性と共にコレクションを囲っていた。
 貴重な古書と、厳重に金庫に保管された品が彼女――来城慶子に遺されたものだった。ただし、金庫の中味は分からない。開け方は鹿山明しか知らず、そのための鍵とパスワードを捜してほしい、と言う依頼だった。
 本宅を訪ね、鹿山明の息子・義彦と、直美に話を訊く栞子と大輔。そこで二人は、「ヒトリ堂」の井上と直美、栞子の母親 篠川智恵子との関わりを知る。同時に、子供たちが父親に抱いていた複雑な感情も。
 厳格で厳しかった父親、自分たちへの愛情すら疑う二人に、栞子は『少年探偵団』のシリーズを紐解くことで、父親の真意を説いて行く。そして鍵と、暗号文の隠された二銭銅貨が見つかった。
 やはり乱歩の作品を元に、暗号を解く栞子。金庫の中に大切にしまわれていたものを、乱歩の廃棄された短編『押絵と旅する男』第一稿の草稿と推察する。果たして、中から出てきたものは。…


 ドラマはここまででしたね。大したもので、ソファーや扉の隠し戸棚はちゃんと映像で浮かびましたよ。長編といいながら、いくつもの謎が重なります。一つを解くとまた新たな謎が…という展開、で最後にもう一つどんでん返し。テンポよくて面白かったです。
 『少年探偵団』のシリーズは、私も何冊か読んだことがあります。「そうです、これは実は小林少年の変装だったのです!」という展開に、もう先に『シャーロック・ホームズ』やアガサ・クリスティを読んでいた私は、「これはないだろう…」とアンフェア感を感じてしまいまして。以降、ろくろく読んでいない筈なんですが、それでも本書にあった『魔法人形』(『悪魔人形』)は、そう言えば読んでたなぁ、と思い出しました。でもそれにしても、「人間がどうやって人形になるんだろう」という疑問に惹きつけられて読んでいたのに、それについてはまるっきり記述がなかったような…。今から思いおこせば、あくまで肩透かしを食らわされる作品群、というイメージが強かった気が(苦笑;)。
 文香だけではなく、志田も智恵子に情報を流していたことが判明したラスト、大輔は栞子に告白しました。智恵子の影もいよいよちらつく中、シリーズは後半に差し掛かったとか。
 次巻に続きます。