敦子は中学まで、剣道をしていた。名門高校からスポーツ推薦が来るほどの腕前、だが、中学最後の県大会で足を捻って団体戦優勝を逃し、以来、スポーツそのものを辞めてしまった。
由紀も敦子と同じ剣道教室に通っていた。痴呆の入った祖母に左手を傷つけられて握力が低下し、竹刀を持てなくなるまで。
夏休み前。二人は転入生の紫織が、親友の自殺という経験をしていることを知る。人が死ぬ瞬間というのはどういうものなのか。敦子は体育の授業の補習として市内の老人ホームで働き、由紀は読み聞かせのボランティアを通じて小児科病棟の子供と知り合い、「人が死ぬ瞬間」を目撃しよう、と考える。
由紀の書いた小説を盗作した国語教師、近日に成功率の低い手術を控えた少年は離れて暮らす父親に会いたいと言い、敦子を指導する冴えない男には過去があるらしい。…
由紀も敦子と同じ剣道教室に通っていた。痴呆の入った祖母に左手を傷つけられて握力が低下し、竹刀を持てなくなるまで。
夏休み前。二人は転入生の紫織が、親友の自殺という経験をしていることを知る。人が死ぬ瞬間というのはどういうものなのか。敦子は体育の授業の補習として市内の老人ホームで働き、由紀は読み聞かせのボランティアを通じて小児科病棟の子供と知り合い、「人が死ぬ瞬間」を目撃しよう、と考える。
由紀の書いた小説を盗作した国語教師、近日に成功率の低い手術を控えた少年は離れて暮らす父親に会いたいと言い、敦子を指導する冴えない男には過去があるらしい。…
この間読んだ『Story Seller anex』の中の湊さんの短編が面白かったので、湊さん改めて読んでみようか、と手に取った一冊。
面白かったです。最初、女の子たちの造型が掴めず、「え、この文章の一人称誰??」と混乱したのですが、読み進めて行くうちに何とか把握できまして。全部読み終えてからもう一度振り返ってみると、ちゃんと区別はつきました。
だんだん繋がっていく「世間は狭いねえ」という展開、連鎖してドミノのように転がり、ハッピーエンドになるのかと思いきや、やっぱりどんでん返しの後味の悪い結末。…そうよね、だって遺書から始まる作品なんだもの。
結局彼女たちの望みは叶ったことになるのかなぁ。彼女に罪悪感はないんだろうな、だって気付いてないんだものなぁ。