読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を 岡崎琢磨著 宝島社 2012年

 第十回『このミステリーがすごい!』大賞最終選考作品。
 連作短編集、かな。
 ネタばれあります、すみません;

第一章 事件は二度目の来店で
 舞台は京都。恋人と喧嘩別れして柔道技で投げ飛ばされ、雨に降られてふらりと駆け込んだ隠れ家的な喫茶店タレーラン」。「僕」はそこで自分の理想とする珈琲に出会う。バリスタは自分とそう年の変わらない女性・切間美星、メールアドレスから「僕」の名前や誕生日を言い当ててみせる洞察力の持ち主。「僕」の前にいた女性客が、「僕」の緑色の傘と自分の赤い傘とを間違えて持って行ってしまった理由まで。
 
第二章 ビタースウィート・ブラック
 小須田リカは「僕」の親戚の女の子で、帰国子女のためちょっと日本語が不自由。付き合い始めたばかりの恋人が、浮気しているかどうか後をつけてくれ、と「僕」に頼んで来た。実際相手の男と喋ってみると、そんなに悪い相手にも思えない。だがそこにある勘違いを、話を聞いた切間美星は見抜く。

第三章 乳白色にハートを秘める
 夏休みのある日、ハーフの小学生に呼び止められ、牛乳を分けてくれ、と頼まれた。断続的に続いた小学生との関わりを切間美星に話していたら、彼女はある異変に気付く。水曜日に給食袋を持って帰る理由とは。

第四章 盤上チェイス
 別れた筈の彼女が、「僕」を追いまわして来る。彼女は偶然の出会い、運命の再会だと言うが、「僕」にはそうは思えない。逃げてもすぐに見つかってしまうなんて、彼女はどんな方法を使っているのだろう。

第五章 past,present,f*****?
 有名雑貨屋で、見事なデザインのダーツの矢に一目ぼれしてしまった「僕」。値段の高さに腰が引けつつ、でも試投でますます惚れこんでしまった矢を、美星がプレゼントしてくれた。どうして彼女は「僕」の欲しかった物を知っていたのか。「僕」の解答は、美星を蒼褪めさせた。

第六章 Animals in the closed room
 猿珈琲をネタに、「僕」はアパートに美星を招いた。用意したプレゼント用のぬいぐるみが、ずたずたに引き裂かれてしまっていたのを見て、美星は過去を思い出し怯える。その真相は関係のないものだったけれど。

第七章 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を
 かつて美星に危害を加えた男が、「僕」の存在を知ってまた動き始めた。「僕」は彼女のために身を引く決心をする。「僕」の正体は美星に勘付かれていたし。…


 あちこちで噂を聞いた話題作。図書館の書架に並んでいたのを見つけて借りて来ました。
 少々時代がかった台詞まわし、なるほど特徴的ですね。男性恐怖症気味の女性バリスタの過去がメインかと思いきや、大きなどんでん返しが最後に。これはちょっと意外でしたねぇ。
 各章ごとの小さい謎は察しがつくものもあったのですが、いやでも京都の街中を走りまわる展開だった第四章は、もう流し読みするしかなかったか(苦笑;)。ファンになった人は、この本片手に御池通りなんかを見て回ったのかしら。いわゆる聖地巡りというやつですね。確かに、モデルになった喫茶店があるのなら、行ってみたい気はしました。コーヒーはあまり得意ではないのですが。