読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

花宴 あさのあつこ著 朝日新聞社 2012年

 ネタばれあります、すみません;

 代々、嵯浪藩の勘定奉行を務める西野家の一人娘・紀江に縁談が持ち上がる。相手は父親が営む剣術道場の門弟・三和十之介。母親譲りの小太刀の名手でもあった紀江は彼と実際手合わせし、その清廉さに心惹かれる。祝言の日を心待ちにする紀江。だが折悪しく三和家の長男が殺されてしまった。次男である十之介が家督を継ぐことになり、紀江との縁は切れる。
 別の門弟・藤倉勝之進を婿に迎え、穏やかに暮らす紀江。娘にも恵まれたが、十之介への想いを断ち切ることができない。その罰のように娘を亡くし、父親も死ぬ。夫は何かを隠している様子だが、後ろめたさが先に立って紀江は語りあうことができない。
 やがて、勝之進が何者かに襲われ、怪我を負って戻って来る。苦しい息の下、語られたのは藩内の不正の事実、しかも十之介も関係しているらしい。はたして、その証拠の書付を手にした紀江の前に、十之介が現れる。二人の手には真剣が握られていた。…


 そりゃ、好きな人と結ばれると思ってたのにやむにやまれぬ事情で引き裂かれたら、思い切るのは難しいだろうなぁ。でもまぁ、昔の想い人がすっかり変わって自分の前に現れた訳で。しかも容姿ではなく、心根、価値観の問題で。それが分かったのは手遅れになってから。次の子供に恵まれてたら、話は変わってたんだろうなぁ。
 くどいほどのあさの節は健在、するすると読み易かったです。