読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

社会人大学人見知り学部 卒業見込 若林正恭著 メディアファクトリー 2013年

 ダ・ヴィンチ連載開始直後から、読者満足度のダントツに高い人気エッセイ、オードリー若林の社会人シリーズが、待望の書籍化。
 人見知りで、どん底生活ゆえに社会を斜めに見ていた売れない芸人が、一夜にしてスターダムへ。
 ようやく足を踏み入れた華の芸能界で彼を襲ったのは、社会という名の強烈なカルチャーショックだった。
 ……あれ? オレ社会人として、いろいろダメじゃない??
 生まれ持った自意識と、どん底時代に培った後ろ向き思考に折り合いをつけながら、彼が導きだした、社会への参加方法とは。
 大幅な加筆修正を加えた連載分とともに、大型書き下ろし2本を収録した意欲作。
 これから社会に船出する人、いままさに社会で全力疾走してる人、そして社会への参加方法に迷っているあなたへ。
 本書は、すべての社会人へのエールです!
                                         (紹介文より)

 雑誌『ダ・ヴィンチ』第一回目の連載から、一応全て読んでいます。(だって図書館で読めるんだもん)
 「大幅な加筆修正」の文言になるほど、と大きく頷きました。しっかり覚えている訳ではないけれど、初めのうちはもっとぎこちない文章だった筈。でもそれはそれで好きだったんですけどね。どんどん読み易くなる文章に、若林さん、こういうののコツ掴むの上手いなぁ、と当時しみじみ思ったんでしたよ。ご本人は自分のことを不器用だと思ってらっしゃるのかもしれないけど。
 そう、不器用ながらも一歩一歩進んで行くんですよね。周囲の人に愛されて、コツを掴みながら。この間のラジオで、作家の平野啓一郎さんのホームパーティに呼ばれて、手土産を持って行くかで迷った、と喋ってらっしゃるのを聞いて、私は思わず「いる! それいるから!」と心の中で叫びましたよ。よくぞそこに気がつくようになったねぇ、と気分はすっかり親戚のおばさん(苦笑;)。ご本人はその後また、何を持って行くかで悩んでらっしゃいましたが。
 平野啓一郎作品は私は読んだことがないのですが、著作の『ドーン』に触れた一節がありまして。中に出て来る「ディヴ(分人)」という定義に、思わず首を傾げました。家でも学校でも勤め先でも、居場所や相手によって態度が変わること、それは自然な使い分けだということ。これと似たようなこと、私、以前漫画で読んだなぁ。日渡早紀の『星は、統ばる』から始まる『早紀ちゃんシリーズ』の中で、主人公早紀ちゃんの彼・星野くんが、そういう台詞を語ってた覚えがあるんですが。そう言えば、星野くんは長じて小説家になるんだっけ。
 思春期に読んだ漫画や小説って、こんなに血肉になってるものなんですね。私は『早紀ちゃんシリーズ』はそんなに読み込んでいないのに、フォーマルハウトに例えられた少年(名前なんだっけ、さらさらストレートヘアの男の子)のエピソードとか、何だか妙に覚えている。主人公の周囲10メートル内に起きた日常を、丁寧に濃やかに、真理と共に描き出す。少女漫画というのは、自然に癒しというか、心構えになっていたのかもしれないなあ。若林さん、少女漫画はあまり読まなかったのかな。

 この本が出版された当時、宣伝として本屋さんの店頭でオードリーのそれ用の漫才が流れていたんですよね~。あのDVDどうなったのかな。ちょっと欲しかったかも(笑)。