読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

旅猫リポート 有川浩著 文藝春秋 2012年

 猫のナナがサトルと旅した道のりを描いたロードノベル。
 ネタばれになってるかも、すみません;

 僕の名前はナナ。尻尾が数字の7の形に曲がっているからとサトルに名付けられた。元は野良猫だったけど、今はサトルに飼われてやっている。
 さて、よんどころない事情で、サトルは僕と暮らせなくなった。引き取り手を探しに、サトルは僕を連れて旅に出る。
 最初の候補者はサトルの小学校時代の友人・幸介。家業の写真屋を継いだコースケは、サトルが以前飼っていた猫・ハチ(眉毛の形の模様から命名)との出会いに大いに関わった人間らしい。実家に帰ってしまった奥さんを呼び戻すきっかけとして、僕をダシに使いたいのだとか。父親との折り合いの悪さも知っているサトルは、新しくコースケと奥さんの猫を飼うべきだと主張する。
 二番目の候補者はサトルの中学校時代の友人・吉峯。ヨシミネは両親の離婚で祖母と暮らすようになり、結果農業を継いだ。先日拾ったばかりの仔猫と僕とのお見合いが失敗に終わったと見て、サトルは僕をヨシミネに渡すことを諦める。
 三番目の候補者は、サトルの高校・大学の友人・杉と千佳子の夫婦。富士山の麓でペンションを経営している。サトルが落ち着くまで僕を預かる、と言ってくれた千佳子。だけど飼っていた犬の虎丸は僕に吠えかかる。
 最後に、僕はサトルと共に北海道、叔母さんの香島法子の元へ。サトルの両親が事故で亡くなってから大学生になるまで、ノリコはサトルと一緒に暮らして来た。度重なる転勤にハチを飼うことを諦めさせたり、ハチに会いに行きたいという気持ちも理解しなかったり、サトルの出生を不仕付けに伝えてしまったり、ノリコはサトルに何かと後ろめたい。でもサトルはノリコと出会えて、幸せだという。両親と引き合わせてくれたノリコに感謝していると。…

 これはずるい。泣くしかないじゃん。
 後半家で読んでてよかったです。花粉症も相まって、もうずるずるでしたよ。
 ただ、ぼろぼろ泣きながらちょっと思っていたのは、ナナのこの属性は犬の性格なんではないかなぁということ。私は猫飼ったことないから分からないんですが、こんなに忠誠を誓ってくれるものなのかしら。
 ブラウン管TVの上のお気に入り具合とか、海の恐がり方とか、箱への執着とかは明らかに猫のものなんですけど(笑)。
 村上勉さんのこの表紙絵でサトルという名前ということは、あの児童書へのオマージュ作品なのかしら。少しコロボックルらしいものも出て来てましたよね。本当にそうなら、でも表紙絵がないと気が付かなかったなぁ。『だれも知らない小さな国』の挿絵の力は大きかったですね。