読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ソロモンの偽証 第Ⅱ部 決意 宮部みゆき著 新潮社 2012年

 第二部。

 1991年、夏。城東第三中学校では、成績別に編成される三年時のクラスではなく、二年時のクラスメイトと卒業制作をする。藤野涼子はその話し合いの中、自分たちで真相を究明しないか、と呼びかける。柏木卓也は何故死んだのか、自殺か事故か他殺か、その原因は何なのか。
 噂ばかりが先行し、容疑者にされた大出俊次にも、告発状の差出人だろうと陰で嘘吐き呼ばわりされていた三宅樹理にも、弁明の機会はない。大出俊次の濡れ衣を晴らすためにも、学校内で裁判を開こう。
 最初は小さかった波紋が、徐々に広がって行く。
 勝木恵子は、大出俊次の元ガールフレンド。大出の無罪を信じて、陪審員として参加する。
 空手道場の息子・山崎晋吾が廷吏の役割を承諾する。
 生徒会で一緒だった元二年C組の佐々木吾郎が、藤野涼子のサポートにつく。佐々木に惹かれる萩尾一美も。
 バスケ部のエース竹田和利と将棋部の小山田修が、裁判に参加させまいとする顧問の横暴に腹を立て、陪審員への参加を表明。
 元二年D組の蒲田教子は転校生、不登校の時期があった溝口弥生と共に陪審員に。
 音楽部の山埜かなめが、同じ音楽部だった浅井松子の代わりにと陪審員に手をあげる。
 通っている進学塾の先生の覚えがめでたくなるから、と原田仁志も後から陪審員に加わる。
 優等生で弁の立つ井上康夫が判事に名乗りをあげる。
 弁護人として参加する筈だった藤野涼子は、大出の父親からのクレームで検事にまわることに。
 代わりに、と立ち上がったのが神原和彦。東都大学付属中学生で、小学校の時柏木卓也と同じ塾に通っていたと言う。幼い頃、アル中の父親に殺されかけたという過去を持つ神原和彦。彼には、野田健一が助手についた。
 彼らの行動は、現役教師の大半には嫌われたものの、外部の大人たちには好意的に迎えられた。大出家の弁護士・風見や森内恵美子教諭が雇った探偵・河野、元校長の津崎、浅井松子の両親や、無責任な報道をした茂木記者にまで。柏木卓也の兄・宏之は協力を申し出るが、はしゃいだようにも見えて、検事側・弁護士側共に眉を顰める。
 森内恵美子教諭の隣人による理不尽な嫌がらせが判明し、弁護側・検事側の行動で橋田、井口、三宅の心も揺らぐ。柏木卓也の美術教師との交遊も明らかになる。事件当日、何度も掛かってきていた電話は、誰から何のために。
 神原和彦の優秀さに舌を巻きながらも、野田健一は時折彼の言動に引っかかりを覚える。神原は何か知っているのだろうか、他校生である彼が大出俊次の弁護を引き受けた理由は何なんだろう。…
 

 読書の愉悦。
 まぁもう止まらない止まらない。世に「中二病」という言葉があるように、中学二年生位の時期というのは、こんなに痛々しいものか。
 大人になりきれていない大人たちが、それでもこの時期を乗り越えて来た経験を踏まえて語る言葉が、やっぱり大人なんだよなぁ。
 それを聞く弁護人、検察側の中学生は、宮部さんの描く子供らしく優秀です。
 さぁ、いよいよ裁判だ!