読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

無花果とムーン 桜庭一樹著 角川書店 2012年

 「あの日、あの瞬間がすべて。時間よ、止まれ」
 あたし、月夜は18歳。紫の瞳、狼の歯を持つ「もらわれっ子」。ある日、大好きなお兄ちゃんが、目の前で突然死んでしまった。泣くことも、諦めることもできない。すべてが何だか、遠い――。
 家にはまだ濃厚にお兄ちゃんの気配が残っている。幽霊っているのかな、でもお父さんも一番上の兄貴も、担任の先生も「幽霊なんかいない」と言う。でもお兄ちゃんは夢枕に立ってあたしに告げる、「明日の朝に、未確認飛行物体(UFO)に乗って、還ってくるよ」って。
 年に一度のUFOフェスティバル、そこにやってきた流れ者の男子・密と約。あたしにはどうしても、密がお兄ちゃんに見えて仕方ない。学校の友達もお兄ちゃんの友達もそっちのけ、あたしは密と街中を回る。…
                                         (前半、帯文の文章を引用しました)

 ええとですね、お兄ちゃんの死亡の経緯については、早い段階で大体察しがつく訳ですよ。ですからそこでのヒキはなくてですね、あとは大好きなお兄ちゃんの死を受け入れ、乗り越えて行く月夜の様子を見て行くのがメインになりまして。
 で、うん、こんなもんだよね、ってのが素直な感想です。自分一人で静かに受け入れてるつもりでも、実は周囲の人を巻き込みながら乗り越えている。傍迷惑だなぁ、と思いながらも憎めない。
 表紙の酒井駒子さんの絵が印象的でした。