読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

日記堂ファンタジー 堀川アサコ著 講談社 2012年

 連作短編集。

 第一話 美女と虜囚
 三浪して医学部に落ち、天保大学の人文学部に入学した鹿野友哉。山の中に生えていたお茶葉を摘んでいたら、そこの土地の所有者・紀猩子に見つかって、家業を手伝うように言われてしまった。
 屋号は「日記堂」、扱っているのはその名の通り日記。今日もとある芸術家の日記を求めて、遺族が押し掛けて来た。

 第二話 怪盗花泥棒
 友哉は猩子に、医学部に入った弟・拓海の恋人 江藤真美に恋しているのを見透かされ、同じような片恋に悩む男の日記を勧められている。その日記を狙って、怪盗花泥棒から犯行予告が舞い込んできた。猩子さんはどうやら犯人に心当たりがある様子、でもその犯人に心酔する模倣犯も現れて…。

 第三話 恋々
 友哉の恩師・丸山は婚約者と教え子の間で心が揺れている。そんな丸山に、三角関係に悩むとある女性の日記を渡す猩子。丸山が日記に読み耽る中、婚約者と教え子は密かに全面対決をしていた。

 第四話 ニセモノ
 ついうっかり、店に来た女の子に『泥棒日記』を渡してしまった友哉。覚えているのは彼女からジャスミンの香りがしていた、ということだけ。日記を取り戻せと迫る猩子、日記に影響を受けたのか日記堂に舞い込んできた犯行予告。お盆祭りの日、蜘蛛の巣柄の浴衣を着て、鬼気迫る表情で真剣を持ちだす猩子より前に、何とか彼女を見つけなければならない。その日は、「人生の岐路に立ち戻れる」夜店が出ていた。…


 堀川さんの著作が続きました。私には、同じ作者の本を立て続けに読むと「文章に飽きる」という妙な癖があるので、できれば避けたかったんですけど。特に『芳一』にあまり好印象を持てなかったので、余計に不安だったのですが、予約が回って来たから仕方ない、読み始めました。
 私、『芳一』よりこっちの方が好きだなぁ。猩子さんはあまり好みのキャラクターではないし、相変わらず(と言っていいものやら)「この人、何のために出て来たんだろう…」と思う登場人物もいるんですが、でもこちらの方がするすると気軽に読み易い感じ。
 でも普通に考えると、日記って個人的なものだから、その場の状況とか主語とか抜けまくってて、本当、読み辛いものだとは思うんですけどね。
 猩子さんは妖怪なんだろうか、それにしては親戚もいるんだよなぁ。