読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ラバー・ソウル 井上夢人著 講談社 2012年

 ネタばれになってるかも、すみません;

 36年間、鈴木誠は自分の殻に閉じこもった生活を送ってきた。洋楽専門誌にビートルズの評論を書くことだけが、社会と彼を繋ぐ唯一の細い糸だった。
 鈴木の所有するヴィンテージカーを、雑誌のグラビアのために借用したいとの打診を受け、彼はその撮影を見学することになった。そのロケが、彼とその周囲にいた人々の運命を変える――。
 美縞絵里―――
女性など無縁だった鈴木が、美しいモデルに心を奪われた。撮影現場にオールディーズ≪君は我が運命(You Are My Destiny)≫が流れ、彼の耳にはそれが天啓のように鳴り響いた。そして次の瞬間、偶然の積み重なりは、彼のクルマの助手席に絵里を座らせる。
 美縞絵里の恐怖が、そのときからはじまった――。
                                    (『ラバー・ソウル』フリーペーパーの紹介文より)

 あちこちに紹介されていた宣伝文から、「純愛物」だという予備知識はありました。でも出てくる主人公はどう見てもストーカーで、殺人まで犯しているものを「純愛」とは呼び辛いし、主人公が思いを寄せる女の子も「…あまり知性的ではないなぁ」だし、どこがどう純愛に転ぶのか、もしかして主人公の使用人・金山の純愛じゃなかろうか、とか色々余計なことを考えつつ。
 …こういうラストかぁ。
 確かに金山と語る様子、お化け屋敷のバイトを「面接で落ちますよ」と笑いあう場面なんか、地の文や手記の所と微妙に性格が違うように感じて、「あれ?」とは思ったんですよね。食生活も、ヒロインの絵里よりよほどしっかりしてるし。
 推理小説としてはいいのかなぁ、とちょっと疑問も抱きつつ。前半をどう読みこなすか、がカギでしたね。でも確かに、結末知ってからもう一度ざっと読み返しました。
 この装丁、いいですね。