読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

奇面館の殺人 綾辻行人著 講談社ノベルス 2012年

 『館』シリーズ第9弾。 
 ネタばれになってるかも、すみません;

 新進気鋭の怪奇幻想小説作家・日向京助になり代わって、鹿谷門実は「奇面館」と呼ばれる館へ赴く。どう考えても胡散臭いその集まりに鹿谷が参加した理由は、その館が中村青司の設計だったから。
 季節外れの大雪に見舞われたその館に、閉じ込められたのは招待客6人と使用人3人、そして表情恐怖症の館の主人。夜中、奇妙な軋み音を聞いた次の朝、主人の死体が見つかる。主人の頭部は切断されて行方不明、10本の指も切り落とされて、こちらは台所のフードプロセッサーで粉々になっている変死体ぶり、しかも鹿谷たち招待客には、寝ている間に仮面が被せられていた。
 会社経営者、建築士、奇術師、自称教授、元刑事、そして鹿谷。みな同じような背格好、面立ちで、鹿谷以外生年月日も前後している。「もう一人の自分」を探していたという主人に集められた招待客の中に、どうやら犯人がいるらしい。
 眠れないままサロンでビデオを見ていたというメイドの少女の証言をもとに、鹿谷は謎を解いて行く。何故死体の首は切断されていたのか、指は刻まれていたのか、招待客に仮面を被せられていたのか。…


 今回も奥様の小野不由美さんが館の図面を引いたのかしら。
 今度の館シリーズはかなり力技だ、と聞いていたのですが、読み終えてみるとそうでもないような…。まぁこれは私がある程度覚悟していたせいかも、新本格に様式美は必要不可欠ですよ、大らかに受け止めましょう、はい(苦笑;)。
 死体の惨状等々の理由は納得が行きました。ごり押しの部分というと、最後に明かされる招待客の選ばれ方だなぁ。作者本人も最後に「佐藤某や鈴木某と違って」と登場人物に語らせて、これって開き直りじゃん、予防線張るなよ、と思わないでもなく(笑)。
 でもまぁいいや、面白かったですしね。綾辻さんといえば叙述ものですもんね。