読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

妖精作戦PARTⅡ ハレーション・ゴースト 笹本祐一著 創元SF文庫 2011年

 初出は1985年、朝日ソノラマ文庫。
 ネタばれあります、すみません;

 パターンA ハレーション・ゴースト
 一週間後にせまった学園祭に向けて星南高校男子部2年B組の面々は、今日も沖田監督・榊脚本による自主製作映画の撮影に追われている。撮影も山場にさしかかったその日、突如として彼らのいる建物だけを地震が襲った。ついで理科標本室では剝製の始祖鳥が羽ばたき、大温室にはドラキュラ伯爵が出現しヒロイン役の女子を浚っていった。バイクでその後を追ううち、沖田は氷島陽子と名乗る女生徒と巡りあう。だが、その名を聞いて新聞部の部長・鳴海つばさは顔色を変える。氷島陽子は彼女と同じ新聞部員で、ゴールデンウィークに交通事故にあったきり、集中治療室から出て来られない状況だったから。
 雪女や狼男、三つ首のサラマンダーまで出現する阿鼻叫喚の中、一人の少女が息を引き取る。沖田に銀のロザリオを残して。

 パターンB YOU MAY DREAM
 学園祭初日を三日後に控え、星南高校はてんやわんやの大騒ぎ。映画編集も最後の追い込みにかかる中、しかし沖田は何か忘れているような気がして仕方がない。榊や小牧ノブも、どこかで聞いたような言動に首を傾げる。学園内だけで起こっていた騒乱は、今度は全国規模で展開。ゴジラモスラキングギドラ、玉蟲まで大行進する狂乱に、沖田の前に「案内人」が現れる。あなたにも原因の一端はある、と沖田たちに、現実と夢の狭間に空いた穴に入って、中の箱を閉じてくるよう要請する。…
                               (前半、紹介文から引用しました)


 これは確かに、『うる星やつら ビューティフル・ドリーマー』がないと生まれてない作品だなぁ。オマージュというか、影響がもろそこここに読みとれる。おかげで思い浮かぶ映像も、いかにもアニメ『うる星やつら』ちっくになりました。でもヴァルキリーは出て来てもガンダムは出て来ないのよね、大人の事情かしら。
 『ビューティフル・ドリーマー』は私も見に行きましたよ、同時上映が吉川晃司のデビュー映画だったのを覚えてます。未だにあの組み合わせは謎だよなぁ、ファン層をどう捕えてたんだろう。当時は入れ替え制なしで、映画館に一度入ってしまえば何度でも見られたんですよね。『うる星やつら』を二度見るためにこちらも見たんでしたよ、懐かしい。
 何かね、でも一番じんと来たのは創元文庫版のあとがきでした。
 「あのころは、それほど無理せずとも一ヶ月の間に出る新刊書、まんが、アニメ、SF関係雑誌をほぼ全部チェックすることが出来た。学校の帰りに本屋に寄れば、毎月同じ日に、毎週同じ曜日に新刊雑誌が本屋に並び、全部買うのは無理でもぱらぱらめくって内容をチェック出来た。毎週放送されるアニメをビデオもないからテレビの前に駆けつけるのは時には大変だったが楽しみだった。」――そう、今は数が多くなって細分化もして、もしかしたら好みの作品もあるだろうに、それを見つけることすら大変で。うわあ、っと盛り上がって行く時期を一緒に過ごせたことは、やはり幸せなことだったんだなぁ。
 しかし解説の方、モモはエンデのモモではなく、ミンキーモモの方だと思うぞ。