読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

架空の球を追う 森絵都著 文藝春秋 2009年

 短編集。

 架空の球を追う
 小学生の野球練習の様子を描いた一コマ。

 銀座か、あるいは新宿か
 40近い女が5人集まって、飲み会を開いた。シングル、ミセス、マザー、バツ一等さまざま集まって、盛り上がった話題は会場は銀座がいいか新宿か。

 チェリーブロッサム
 桜並木の風景。写真を撮るカップル、わざとぶつかって来るホームレス。

 ハチの巣退治
 イギリスのあるオフィスにて。留守中にハチの巣を退治しておくよう言われた社員は、「何でも屋」の青年を呼ぶ。

 パパイヤと五家宝
 高級食料品店で、いかにも優雅なマダムに倣って食料品をカゴに入れて行く「私」。でも最後のデザートコーナーで、私の目に留まった物は。

 夏の森
 百円均一でカブトムシを買い、息子や夫から冷ややかな目で見られた「私」。近所の公園に放しに行って、私は忘れていた過去を思い出す。

 ドバイ@建設中
 婚前旅行でドバイに行った。相手の男に色々思う所はあるけれど、何しろ石油会社の御曹司、結婚までこぎつけてみせる。ドバイが不満だらけの土地でも。

 あの角を過ぎたところに
 タクシーに乗って通過した所に、店がなかった。昔贔屓にして良く通っていた居酒屋、思わずそのことを話題にしたら、タクシーの運転手は、自分はかつてそこの店の店員だったと話し始める。店の主人の行方が気になる、とそわそわし始めて…。

 二人姉妹
 親戚一同で集まった温泉宿で、二人姉妹の様子がおかしい。姉は恋人との別れが、恋人の妹に対する不用意な発言からだったことから、妹に対しても蟠りが解けないらしい。ぎくしゃくとした雰囲気の中、和解は無理かと思われたが。

 太陽のうた
 難民キャンプにて、外国のジャーナリストの取材を拒否する女性。

 彼らが失ったものと失わなかったもの
 バルセロナ空港内で、ワインを買ったイギリス人夫妻。だがギフトボックスの底が抜けて、ワインは零れ広がってしまった。…


 『二人姉妹』のオチで、「ああ、そうそう、森さんのショートってこんな落とし方だった」と思ってしまいました。相変わらず意地悪だなぁ(笑)。これだけ短くても個性が出る、というのは凄いことですよね。
 やっぱりちょっと私の価値観とは違う所が多くて、というか多い人を描いていて、引いて見てしまう所もあり。でもするすると読み易かったです。