読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

こいわすれ 畠中恵著 文藝春秋 2011年

 連作短編集。
 ネタばれあります、すみません;

 おさかなばなし
 “おいてけ堀”に河童が出た、と騒ぎになっている。堀に落ちたり金品を盗られたり、麻之助の悪友・清十郎まで、堀に突き落とされて溺れかけるという被害にあった。なのに清十郎はその経緯を喋らない。そのうち、「子供を河童に浚われた」と証言する商人まで現れた。河童は本当にいるのか、その正体は。

 お江戸の一番
 『世神髄相撲見立番付』のために、狂歌師と画家が相争っている。評判の看板娘への恋のさや当ても挟まって仲違いは深まるばかり。その二組を納めるために麻之助はイベント開催を計画、その売り上げで結着を着けるよう進言する。ところが、意外な所から妨害が入った。

 御身の名は
 麻之助に会いたい、会って相談したいという女文字の手紙が届く。ところが身重のお寿ずの体調が思わしくないこともあってすれ違いが続き、会うことができない。本当に相手は麻之助に会う気があるのか、そのうちお寿ずに幼なじみのお高が近付いて来た。お高は自分は麻之助と関係があると主張し、大金を要求して来る。

 おとこだて
 よみうりに、とあるお武家の妻女が色男に金品を貢ぎ込んだという記事が載った。噂の色男・夏三郎を捜してみると、これが到底色もてるとは思えない男ぶり、でも確かに、馴染みの武家の妻女・みやは持参金代わりの螺鈿と鼈甲の櫛を売って夏三郎に渡したらしい。みやの夫も関わって騒動が起こる中、麻之助はこの裏の意図を読む。

 鬼神のお告げ
 湯島天満宮の一等富くじ、六百両が古着屋の駒吉に当たった。駒吉は、この富くじは自身の三尸の虫が告げた番号を買ったもので、その虫は他にも色々なお告げをして行ったと言う。その中には人死にのお告げもあったとか、それは果たして本当に三尸の虫が告げたことなのか、何者かがそれに乗じて人殺しを計ろうとしているのではないか。“三尸の虫”捜しに麻之助たちは動く。

 こいわすれ
 北国屋の娘・お千夜の縁談が破談になった。原因は暦で、相手方の男の暦には、娘の大店が凶方に当たる、日付もよくないとあったと言う。そんなことが書いてある暦はどこにも売っておらず、戸惑った北国屋は、偶然お千夜の入水現場に行き合わせた麻之助に相談を持ち込む。調べてみると相手の男は、あまり女関係でいい評判は立っておらず…。


 お寿ずさんが死んでしまいました。お腹の子もろとも。麻之助、女運良くないなぁ; やっとお由有さんから吹っ切れそうな感じだったのに。
 このシリーズ、登場人物以外あまりよく覚えていなくてですね、あまりキャラクターに愛着もなかったんですが、それでもこの展開は意外でした。
 お寿ずに変な噂を立てるお高については、何かちょっと気持ちが分かるような。ちょっと重い病気に罹ったり酷い目にあったりすると、「何で自分がこんな目に」「私何か悪いことした?」と言う考えに陥ることがあるそうで。私もそういう風に考えて、で、「ああ、これが」とハタと思い当ったことがあったのですよね~。でもそれで他人を妬んで悪い噂を言いふらす、ってのはココロザシが低くないかい、とは思いますけど。
 麻之助の慟哭で終わった今回。どう続くのかなぁ。まさかおこ乃ちゃんが次の麻之助の相手に、とかはならないと思うんですが。
 そうそう、ちらっと出てきた「表通りの薬種問屋の長崎屋」ってのは、あの長崎屋じゃないですよね?(笑)。