読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

月夜彦 堀川アサコ著 講談社 2011年

 ネタばれになってるかな、すみません;

 時は平安、京の都。
 天皇に嫁いだ左大臣の娘、巽姫が腹を喰い破られ、路傍で死ぬという事件が起きた。巽姫は天子の寵愛めざましい折り、野望を手折られて激怒した左大臣は犯過人の首に千貫文の賞金をつける。以降、通称「千貫文」と呼ばれることになった犯過人は、化生の者ながらも賞金首として狙われることになる。
 散楽舞いの青年・小槌丸は女を喰い物に小遣い稼ぎをする男遊女。検非違使の胡子判官は、何故か小槌丸が千貫文だと思い込み、つけ狙う。だが小槌丸自身、ひょんなことから千貫文が、時の右大臣の息子 月夜彦であることを知ってしまった。月夜彦は実は小槌丸の腹違いの兄弟でもある。月夜彦は巽姫に手を出していたという噂で、遠く近江の地に流されてしまう。
 小槌丸も月夜彦の後を追う。当初は月夜彦と入れ代ってこの世の春を謳歌するつもりだったが、やがて狙いは千貫文の賞金に。月夜彦は政界進出を目論む草鹿入道宅に身を寄せる中、彼の愛娘 乙姫と恋仲になる。やがて発見される乙姫の骸、やはり路傍に捨て置かれ、獣に喰いちぎられた跡がある。乙姫を天子に輿入れするつもりでいた草鹿入道は、月夜彦を千貫文として殺すことを決意した。
 何故か小槌丸は月夜彦と共に夜の山中を逃亡することに。そして小槌丸は自分と月夜彦と、その姉千名姫との因縁を知る。千名姫はある願いを叶えるため、神饌として実の弟を引き渡す約束をしていた。
 天子の子を宿している千名姫、彼女に惹かれる月夜彦と小槌丸。御簾越山にいる化生に望んだ願いとは。…

 堀川さんのデビュー作もこんな風な作品だったよなぁ、とふと思い出しました。元々こういうお話が書きたかったんだろうなぁ。
 平安を舞台にすると、何だか陰鬱というか清潔感のないお話になる気がするのは私だけかしら。江戸時代の化け物は何とかなる気がしないでもないけど、平安時代のは粘着質で不気味でもうどうにもならない(笑)。
 切り絵風の表紙も楽しかったです。