読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

本日は大安なり 辻村深月著 角川書店 2011年

 憧れの高級結婚式場で、同日に行われる4つの結婚式を描いたオムニバス小説。
 吉川英治文学新人賞受賞作品。
 ネタばれになってます、すみません;

 山井多香子はウェディングプランナー。今回担当した花嫁は、5年前、結婚直前まで行った自分の恋人を奪った女だった。多香子のことなどすっかり忘れ去っているようで、プランにも我がまま放題を言う。彼女を幸せに送り出すことが、自分のプロとしてのプライド。でもやはりと言うべきか、式当日もトラブルは起こった。

 加賀山妃美佳と鞠香は双子の姉妹。お互いにコンプレックスを持ちながら育ってきた。今日は妹の妃美佳の結婚式。妃美佳は鞠香に、ウェディングドレスを着て自分を演じてほしい、と頼む。親さえ見抜けないこの入れ替わりを、花婿の映一が見抜くことを願って。

 白須真空は7歳。叔母のりえちゃんが今日結婚する。相手の東さんは7歳も下でもっさりとしていて頼りなくて、まるで気に入らない。それに、真空は見てしまったから。東さんが、職場の女の人と親しげに話していたのを。式の途中でりえちゃんに毒入りりんごを食べさせるという会話を。

 鈴木陸雄は夕方からの式の花婿だった。「運命の女」「唯一無二の相手」だと思っている妻・貴和子を裏切って浮気した相手との結婚話が、あれよあれよと転がってしまったから。こうなったら式自体を潰すしかないと、陸雄はホテルへの放火を企んでいた。誰か止めてくれ、と念じながら。

 そして、ホテル・アールマティに非常ベルが鳴り響く。…


 面白かったです。
 いや、何かね、オチに察しのついてしまうものもあったんですが、それでも爽快でした、ハッピーウェディング、ハッピーエンディング。
 惜しむらくはやっぱりリンクが張られていたこと(ファンに怒られそうだなぁ;)。東くんの友人・狐塚くんが、真空の味方になってくれるかどうかではらはらさせる場面があったんですが、名前に覚えがあったせいで「…いや、いい人でしょ、この人」とあっさり何の疑問も持ちませんでしたもの。それにしても東くんも東くんだ、恋人の家族と会う時にあの態度ではあれこれ言われても仕方ないぞ;
 鈴木陸雄だけは、これはあの程度で許しちゃいけないでしょうと思いましたけど。彼の独白は何を勝手なこと言ってるやら、と結構むかつきましたねぇ。殴るくらいで済ませるのかしら、みんな優しいなぁ。
 エピローグ、双子の、式をそっくりやり直したというエピソードは「なるほど!」でした。その本当の意味を判ってるのは、双子と新郎と読者だけなんですよね。
 わがまま花嫁・大崎玲奈の友人・野原さんてのは、どこか別の作品に出て来た人かしら。…リンクを否定しといて言う言葉ではありませんが(苦笑;)。
 それにしても、結婚式って高いなぁ;



 追記:そうそう、書こうと思って忘れてたので追記。
 これ、奥付が洒落てるんですよね。

 平成二十三年二月二十五日(大安) 初版発行
 平成二十三年三月二十六日(大安) 三刷発行    

 って。愛されてるのが分かりますよね、何だか嬉しい♪