読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

七色いんこ 全5巻 手塚治虫著 秋田文庫

 少年チャンピオンに1981年3月から1982年6月まで連載された作品。
 
 七色いんこは代役専門の舞台役者で、大泥棒。彼に仕事を依頼するとその公演は成功する代わり、幕間に金持ち客の金品が盗まれる。そんな彼を追うのが女刑事・千里万里子。最終章では彼女といんことの因縁が語られます。

 手塚治虫という漫画家は私にはやはり特別な存在です。何故なら初めて、「作者」というものを意識させてくれた人だから。
 小さい頃からTVで見ていたアニメ『リボンの騎士』や『ジェッターマルス』、兄の雑誌に載っていて夢中で読んでいた『走れ! クロノス』、何かの拍子でちらっと読んだきり忘れられなかった『ブラック・ジャック』(針師・琵琶丸の回だった)、小学校の時隣のクラスの先生に借りて読んだ『火の鳥~望郷編』。これら全てがみんな同じ人によって生み出されたものだと知った時のあの衝撃。もう運命だ、と思いましたね(笑)。

 この作品は丁度兄が少年チャンピオンを買っていた頃だったので、連載時リアルタイムで読んでいました。結構内容を覚えていて我ながら驚きました。『人形の家』『ゴドーを待ちながら』『電話』『修善寺物語』『ピーターパン』『シラノ・ド・ベルジュラック』。後半になるに従って内容を忘れて行ってるのは何故なんでしょう(苦笑;)。いんこの「ホンネ」なんか本当に忘れてたもんねぇ。でも終幕のエピソードは覚えてました。…いや、それは流石にねぇ(笑)。
 結構メタだったりシュールだったりSFちっくだったりもしたんですね。時事ネタも案外多かった。おかげで今では分からなくなってるギャグもあって、後半結構出て来る「日本の国土」って何のことだったんだろう。
 
 時々漫画家さんの名前も出てきたりして、これは皆さん嬉しかっただろうなぁ。何か、記憶にあったより面白かったです。