読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

シアター!2 有川浩著 アスキー・メディアワークス文庫 2011年

 今回は劇団員それぞれに焦点を当てた『シアター!』第二弾。

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 物販用のオリジナルグッズ作りでもめる劇団員。『熱血担当』黒川が制作を本気で考える。
 上演したのは山で命を落とした登山家の父親と、その妻・娘を描いた『行こう、遙かなるあの山へ』。

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 劇団のホームページに千歳を否定するコメントが寄せられた。消しても消しても復活する投稿に、とうとう掲示板を閉鎖する事態に。その内容に誰より動揺したのは巧で、当の千歳は別のことを気にしていた。

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 今日もTVドラマのオーディションに落ちた大野ゆかりは、秦泉寺出演の再現VTRを見て落ち込み、小宮山相手に愚痴を言う。それでもめげずに受けた昼ドラの脇役オーディションで、ゆかりは元シアターフラッグ劇団員・松本優依に出くわす。千歳加入によるシアターフラッグ方針変更の件を未だに根に持つ優依は演技を放棄し、それが功を奏してゆかりは役をゲット。だがそれにより、ゆかりはシアターフラッグの裏方仕事を手伝う空き時間が無くなってしまった。そしてゆかりは、再び小宮山に電話する。
 上演演目、20年前に海で死んだ母親とそっくりの女性が現れ、父親や子供たち、現在の父親の想い人を揺さぶる『海より来る夢の通い路』。

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 清水スズが「うっかり」をやらかし、物販売上に損害を出した。怒鳴りつける黒川、それを庇う千歳。逆切れしたスズは千歳に対して急所を突き、劇団員が揃って司に相談を持ちかける羽目に。要領のいい黒川や千歳には過去の自分を見るようで、司はいたたまれなくなりながらもそれぞれにアドバイスを与えて行く。

 STAGE.-1
 返済期限最後の公演となる来年7月の劇場がまだ決まらない。漸く決まりそうになったテアトルワルツも、支配人の不遜な態度が気に触り、巧は独断で拒否。でもその後で、巧は後悔に苛まれる。自分一人の感情で劇団員のチャンスを棒に振ってしまった、皆に会わせる顔が無い…と、巧は思わず神戸へ。そこは再婚した母が住んでいる町だった。

 STAGE.0
 看板女優・早瀬牧子に連れて帰られた巧から経緯を聞いて、司は憤慨する。ハコがなかったから借金を返せなかったとか言い訳されては堪らない、と言い訳しながら、司は廃倉庫や廃ビル等にその時限りのコヤを作る算段を立てはじめる。
 上演演目、初めてゲネプロに客を入れて上演した、ボートを持っていないボート部を描く『走れ、ボート部!』。…

 すらすら読めましたね~。テンポのよさは相変わらず。
 経費削減に励んだ前回から、個々人を描いた今回。ある程度軌道に乗るまでは書くこと満載だろうけどその後はどうするんだろうと思ったら、こういう進め方があったのね~。
 どのカップルも、頑張る女の子を男性陣がサポートするんだなぁ。恋愛感情があるなしに関わらず。その中でも牧子と巧、巧のあの独占欲はもう充分に天然のたらしでしたね、自分を一番輝かせてくれる相手ってったらそりゃ好きになるわ(笑)。お兄ちゃんも相変わらず頼りになるし。…というか、大人だなあぁ。
 今回の悪役、元劇団員の女の子は、何であんなことするかねぇ。結局自分の値打ちを貶めているだけなのに。
 どこまで実話を取り入れたのか、リアリティたっぷり。売れない役者のオーディション風景とか生活とか、中途半端な規模の劇団が一番収益が上がらない、ってそうなんでしょうね。
 次が最終巻みたいですね。借金完済はなるのか(なるとは思うけど)、それともどんでん返しがあるのか。表紙に続く影はスズなんでしょうねぇ。