読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ブルースカイ 桜庭一樹著 ハヤカワ文庫 2011年

 2005年に出版された同名小説の新装版。

 西暦1627年、ドイツの片田舎レンスで。
 10歳のマリーは大柄な祖母と流れ流れて、レンスの水車小屋に辿り着いた。祖母の張った結界の中、穏やかに平和に暮らす毎日。しかしその年、冷害と飢饉で沢山の子供が死んだ年、魔女狩りが起きる。真っ先に魔女として捕えられたのは金髪のクリスティーネ。町で一番美しかった彼女、善良で信仰深く子供好きだった彼女は拷問の末、魔女の名を次々に上げて行く。その中にはマリーの祖母の名もあった。
 元々祖母とマリーは何者かに追われていた。その昔錬金術に関わりがあったという祖母は蟇蛙を通じてシステムにアクセスし、東方より客人が来てマリーを救うだろうことを予言する。果たして、祖母が魔女派遣委員に連行された後、水車小屋の納屋に客人が落ちて来る。…黄色い肌、黒髪、細くて黒い目をした、奇妙な服装をした少女が。
 言葉も喋れず短いセンテンスを繰り返し、泣いてばかりいる彼女に、マリーは<アンチ・キリスト>と呼ぶ。<アンチ・キリスト>とマリーは行動を共にする。火刑にされた祖母の死体に紛れ込んで、町を抜け出す。追手から逃れながら、海沿いの町に住む祖母の古い友人に会い、新世界へ旅立つ船に乗る。自分の出生の秘密など知らない、新しい人生を歩むために。だがその船上で、<アンチ・キリスト>は黒いマントの老人に追われ、船室から消えてしまう。

 西暦2022年、シンガポールセントーサ島で。
 大人になれない3Dアーティストの青年・ディッキーは、とあるゲームのための背景を創作している。中世オランダ風のゴシック建築が立ち並ぶ町を、友人モーリスが姿形を作り、「つきあっている」女性チャムが性格付けた、アンバランスな女の子が歩きまわる。外見は幼い少女、中身は成熟した女性の性格を持つ彼女。
 極東の古い映画を見ていると、中から17歳の少女が現れた。今は絶滅したクリーチャーが。何者かに追われていると言う彼女に奇妙な親近感を覚え、ディッキーは彼女と時空の彼方に旅立とうかと迷う。

 西暦2007年、日本の鹿児島シティの上空。
 17歳の少女・青井ソラは地上に投下された。爆発の時、携帯を使っていた為に他の時空と繋がり、時代も場所も全く違う場所に飛ばされた少年少女たちと共に、時空管理官に捕獲されて。…

 桜庭さん流サイバーパンク、かしら。とかいいながら、私サイバーパンクが何なのか、分かってはいないんですが。
 第一部の有りようが何だか『GOSICK』とかぶって見えて、「ほう」と思いました。錬金術との関連とかマリーの生い立ちやマクシミリアンとの関係とか。結局マリーの出生についてははっきりとは語られないままなのね~、その辺りはちょっと消化不良かも。あと、第二部でいきなり自分の置かれた立場を把握しているソラも。
 ただ、とにかく読み易いのは読み易かった。すらすら読めました。桜庭さん、このころの作品の方が私には波長が合うかも。