読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

不思議な羅針盤 梨木香歩著 文化出版局 2010年

 雑誌『ミセス』に2007年から2009年まで連載されたエッセイをまとめたもの。
 丁度『西の魔女が死んだ』が映画化されたあたりだったようですね。

 自分の思いを静かに語る文章。
 梨木さん、人間関係だのカーナビだの、色々苦労されてるんだなぁ(苦笑;)。小説なんかでもところどころに出て来る「おや?」という表現が、ここでも顔を覗かせます。

 「結局自分が悪い、身から出た錆」というような考え方は、実は非常に投げやりで短絡的な思考の帰結で、つまり何も考えなくてすみ、楽で容易なので(だから新興宗教の類でよく用いられる)本人に真実を見極めようとするファイティング・スピリットを起こさせないところがある

 この文章だけでは分からないかもしれませんが、この章は何となく「自分の価値観が正しい」みたいなニュアンスにも受け取れる箇所があって、どきっとしました。あれ、こんな妙に上からな文章書く作家さんだったっけ??と思ってたら、あとがきによると丁度政治家の「自己責任」発言が話題になっていた頃だったようで。ああ、なるほど、特定の人を想定してた訳ね。

 「シロクマはハワイで生きる必要はない」
 もう、だめだ、と思ったら逃げること。そして「自分の好きな場所」を探す。

 …うん、私もそう思ってました。子供におけいこごとをさせることを疑問視する人がいるけれど、私はいくつかはさせていいんじゃないかと思う、世界を広げるという意味で。私自身、学校が辛かった時には塾が救いになり、教室が苦しかった時には部活を楽しみにしたりしていたから。その世界だけが全てじゃないということ、客観的に見ることを意識的にするのは子供ならなおさら難しいから、その切っ掛けを作っておかないと。

 野生のアスパラガス「キジカクシ」の葉はアスパラガスの味がしたそうで。なら、普通のアスパラガスの葉も芽と同じ匂いや味がするのかしら。摘んで食べてみようか、と母と話しました。