読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

暴走ボーソー大学 山之口洋著 徳間書店 2011年

 とある地方都市にある三流私立大学を舞台に繰り広げられる一年間の騒動。
 …ええと、この作品を気に入られた方は、この記事を読まない方が宜しいかと思います; ネタばれ、みたいな所もあります、すみません。

 千葉県のド田舎にある房総自由大学は、二時間に一本の気動車に乗った上、最寄りの駅から送迎バスに乗って通うようなのどかな私立校。5月のある日、いきなり理事長から「前期で大学廃校」の宣言がなされた。理由は経営不振、生徒達をほっぽり出すようなこんな展開が普通なら許される筈がない。あと半年で卒業の四回生の親たちから寄付金を集めるやり方を、「極楽鳥研究会」のメンバーは不審に思う。
 会長は、実家の精肉店を継げと親から強要されている西川慎次。四回生の今になって単位を集めまくっている。
 北野杏子、通称女社長。シンジの幼なじみ。リゾートホテルのアルバイトでコネをつくり、そこへの就職もさっさと決めたしっかり者。
 山鹿タツヲ、通称ヤマカシ、三回生。高所平気症と精神科で診断された変わり者。高い所が大好きで、今回の廃校情報も、理事長の最上階の部屋を屋上から逆さまに覗くと言う離れ業でいち早くゲットした。
 三ツ瀬彰、三回生。ホストクラブでバイトしているチャラいイケメン。
 会田楠葉、通称クモハ。二回生、鉄女。実家の農業地を莫大な額で買収されて、以来家族が自堕落にばらばらになってしまった過去を持つ。
 兵藤亜里砂、一回生。クラロリ系のドレスをまとう美少女。
 きたねこ、非正規会員。この学校がかつて愛知にあって、空港建設のため今の場所に移転した十三年前から在学していると言う噂の謎のフィギュアおたく。
 自分の農地を買収に来たヤクザが、大学廃校の説明会で理事長のボディガードをしていたというクモハの証言を皮切りに、ヤマカシの見張りの名目で臨時顧問に抜擢された非常勤講師・行行林(おどろばやし)が動き始めた。杏子のバイト先のスウィートルームには理事長と文部省の役人が泊まりに来て女の子を呼んでいるし、彰のホストクラブに通い、彰に入れ上げる中年女は地元のヤクザ、山崎会系房総田辺組のオンナだったらしい。ヤクザと私立大学理事長が手を組んで、どうしてこんなにも廃校を急ぐのか。情報を集めて整理するうち、一つの陰謀が見えて来る。警察でもマスコミでもない自分達が、この大学を存続させることができるのか。…

 私は読んだことがないのでこういうことを言うのは何なんですが。
 …もしかして、石田依良さんてこんな話を書くんじゃないのかな。
 時間かかりましたね~、この作品。普通この長さのお話なら2日から3日で読めるんですが、3日経っても読み切れず、「このままでは一緒に借りた他の本も期限内に読めなくなってしまう;」と途中で一旦やめて、桜庭さんのエッセイを先に読んだくらい。
 この作家さんもファンタジーノベル大賞出身者です。出版された本はほぼ読んでる筈なんですが、どうもどの作品も私にはぴんと来ない。多分、どの作品も、別の作者の別の作品を連想するからだろうと思っています。で、連想するならするで元の作品よりもっとずっと面白くなってなきゃいけないのに、どうも上手くない。
 今回みたいな作品は、何よりキャラクターが立ってないとぐいぐい行けないと思うんですが、何故か設定を並べただけに感じてしまう。しかもそのエピソードを披露する順番がなってない箇所があるため、伏線ではなく後付けに思えてしまった所もあって、だからどうも、テンポが悪いくせに展開が読めると言う悪循環。…これ、ちゃんと構成練ったのかな。自衛隊基地見学のくだりとか、ブラック企業の蘊蓄とか、要る?? いくらパフスリーブにフレアースカートのドレスを着ても、レスラー体型は隠せないよ、首の太さが違うもの。
 いや、だったらもう追いかけるなよ、って話なんですけどね。何故か書評とかで誉めてあるのを見かけたりするんですよ。で、今回は大丈夫かな、と思って手を出してしまう。
 …何かの亜流に見えるのは、私の偏見かなぁ??