読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

マルドゥック・スクランブル[改訂新版] 冲方丁著 早川書房 2010年

 2003年ハヤカワ文庫より刊行された『マルドゥック・スクランブル(全三巻)』に大幅な加筆訂正を施した合本版。
 ネタばれになってるかも、すみません;

 “天国への階段(マルドゥック・スクランブル)”をシンボルとするマルドゥック市。
 ある夜、少女娼婦ルーン・バロットは、賭博師シェルの奸計により爆炎にのまれる。瀕死状態の彼女を救ったのは、委任事件担当官にしてネズミ型万能兵器のウフコックと、ドクター・イースターだった。一命をとりとめたバロットは高度な電子干渉(スナーク)能力をも手に入れ、シェルの犯罪を追うが、その眼前に敵の事件担当官ボイルドが立ちはだかる。それはかつてウフコックを濫用し、殺戮の限りを尽くした因縁の相手だった。
 壮絶な銃撃戦の中、バロットは凌辱される側から凌辱する側の快感を覚え、その圧倒的な支配感に酔う。それはウフコックの、使用者の濫用に対する拒絶反応を引き起こした。ボイルドと同じ過ちを犯したバロットを、半身を失いながら、それでもウフコックは護ろうとする。
 ウフコック治療と重要参考人バロットの生命の保全のため、バロットとドクターは元宇宙戦略実験施設O9通称≪楽園≫に逃げ込む。そこでバロットは、ウフコック生誕の秘密やボイルドの経緯、シェルの陰にあるオクトーバー社を、ドクター達が追う理由を知る。バロットは≪楽園≫の多元型通信基幹の端末を使い、シェルの犯罪の記憶が、シェルが運営するカジノの百万ドルチップの中に隠されていることを付き止めた。
 バロットとウフコックはドクターの付添いの元、自らの有用性をかけて勝負に挑む。スロットからホールデムへ、ルーレットを通ってブラックジャックへ。とうとう目的を果たし、シェルを法的に追い詰められる段になって、オクトーバー社はシェルもろとも事件を葬り去るよう行動を起こす。
 バロットは自らを殺そうとしたシェルを護るため、ボイルドと相対する。最後の闘いが幕を切った。…
                                     (表紙見返しの紹介文を一部引用しました)

 うわぁ、これは私にはハードル高い話だなぁ、と読み始めてすぐ思いました。何しろSFはサイバーパンクで挫折した人間なので; …とか言いながら、多分私、「サイバーパンク」なるものをきちんと理解してないと思うんですけどね。
 設定にしろ戦闘シーンにしろ長々続く説明に、これアニメか何かの映像で、訳分からんままただ見せるだけで突っ走ってくれた方が、物語自体には入っていけるかもなぁ、とちょっとココロザシの低いことを思ってしまったり。第一部ではスプラッタシーンも満載、視覚にはとにかく訴えられました。読んでてちょっと辛い場面もありましたし。あ、でもカジノの場面はアニメにはしにくいか。何しろ長かったしなー(笑)。ただ、途中から意識を変えて、流されるまま読んでいくようにしたら思いのほか盛り上がりました。
 オンナコドモとしての正しい見方は、「ウフコック可愛いー♪」なんだろうな、と思いつつ(苦笑;)。
 振り巾が大きいのか小さいのか、どちらとも取れる作品でした。