読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

さよなら、ベイビー 里見蘭著 新潮社 2010年

 ネタばれになってるかも、すみません;

 母が癌で死んだ日、「僕」佐藤雅祥は自殺未遂を起こして同じ病院の別の部屋で胃洗浄を受けていた。以来、雅祥は引き籠ったまま。前後の記憶も失って、自殺をしようとした原因も思い出せない。父親は仕事を辞めて家賃収入で雅祥を養い、雅祥の生活については何も口出ししなかった。後ろめたさを引き摺って、それでも雅祥はぬるま湯に浸かった生活を送っていた。
 ある日父は、家に赤ん坊を連れて来る。知り合いが海外へ行く間、面倒を見るのを引き受けたと言う。世話は一切父親が見て、雅祥は相変わらず引き籠ったまま。それで上手く行く筈だったのに、赤ん坊が来て三日目、父は心不全で倒れて、そのまま帰らぬ人になってしまう。
 引き籠りの雅祥には救急車を呼ぶのも一大決心、父が運ばれた病院に行く事も怖くてできない。赤ん坊は容赦なく泣きわめき、雅祥は父親の年の離れた従姉、「しーちゃん」に連絡を取る。しーちゃんは先日離婚したばかりだった。
 しーちゃんの手助けを得て、雅祥は何とか父の葬儀を済ませ、赤ん坊の世話も見始める。民生委員の緒方さんは、厳しい言葉で雅祥を叱咤する。赤ん坊の親が引き取りに来るまでの我慢と思っていたのに、予定の日を過ぎても母親は現れない。出かけた先が政情不安な国で、帰国が延びているらしい。そのうち、しーちゃんの元夫が、父親を連帯保証人に借金をしていたことが分かった。家から何から全て売らなくては返せない莫大な額、いよいよ雅祥は追い詰められる。
 並行して語られる何組もの親子・夫婦の姿。不妊治療に悩む妻、不倫の子を産む決意をした女性、その娘は14歳で妊娠する。果たして赤ん坊は誰の子なのか、雅祥の自殺未遂の原因は。…

 引き籠り、できるもんならしたいよな~。でも罪悪感と言うか後ろめたさなしにはできないのがなぁ(←こらこら;)。
 メインは雅祥なのですが、並行してその背景となるんだろうな、と言う人々の姿が描かれます。その人達が誰に、どこにあてはまるのか。一応私もミスリードされたのですが、ちょっと頭の中が整理されてなくて、すっきりとはいかなかった。「あれ、これ誰だっけ?」とか思ってしまったのは、私の記憶力の悪さが原因です、すみません; ちゃんと構成して書いてるのにね;;
 不妊治療の場面は読んでて痛かったです。物理的にも精神的にも。