読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

六とん4 一枚のとんかつ 蘇部健一著 講談社ノベルス 2010年

 バカミス短編集第4弾。
 ネタばれになってる気がします、すみません;

 一枚のとんかつ
 明知鉄道の始発駅から終点まで、一人ずつ射殺死体が発見された。遺体の傍らには<一つ、人より力持ち>から始まる数え唄が書かれた紙片、容疑者は捕まったが彼にはアリバイがあり、一駅ずつ殺して行く時間はない。
 保険調査員の小野由一は、とんかつの上にかかったソースを見て、その犯行方法に気付く。

 大江戸線5分30秒の壁
 大江戸線に乗って六本木駅で降りた大学生が射殺された。容疑者は隣の麻布十番駅で別れた同級生、しかしその時刻には反対側の隣の駅・赤羽橋駅前の定食屋に顔を出していたと言う。このアリバイは崩れるのか、ビルの中で階段を上り下り、小野は真相に気付く。

      …東京在住の人でないとぴんと来ないだろうトリックですね。

 新×××殺人事件
 ヴァイオリニストの女性が殺された。死体の傍には五本の色違いのバイブレーター、おそらくダイイング・メッセージと思われる。その謎を解いたのは絶対音感を持つ音大出の女性調査員だった。

 犯行の印
 大学時代の友人の家に金を借りに行ったものの、友人は留守だった。鍵の在り処は知っている。小池は留守宅に上がり込み、日向ぼっこしながら寝てしまう。目覚めてから借金の交渉したが、友人はうんとは言わない。思わず殺して金を奪い、小池は友人宅を後にする。証拠は何も残さなかった筈だが、小池の身体にそれは残っていた。
  
      …ええと、おでこの「がんばりましょう」がよくわかんないんですけど;

 聖職
 同じ高校の教師・上原美雪に、横山は想いを寄せていた。時々朝の通勤電車で一緒になるのを楽しみにするささやかな毎日、だがある日、上原は恋人殺害の容疑者として捕まってしまう。朝、見かけたのに声をかけなかったことを後悔する横山。それがアリバイになると言うのに、着ていたスーツの色も思い出せない。ただ、思い出せるのは…。

 ひとりジェンカ
 自他共に宴会部長と認める児島が、中国の工場へ栄転になった。だが誰も送別会を開いてくれる様子がない。もしかして自分は嫌われているのでは、と児島は疑心暗鬼になっていく。

 修学旅行の悪夢
 修学旅行先の上海で、皓太は酒の勢いを借りて、初めての風俗に挑戦する。だが乗せられたタクシーは人気のない方へ。連れ込まれた先は、臓器売買の組織だった。

       …ええと、夢オチ? どこから??

 翼をください
 小学三年生の翔は、誰にも心を開かない少年だった。夏休み、教師の朝加志穂に宿題として、何か工作をしてくるよう請われる。その日から、下着泥棒の被害届が多く寄せられた。
 
 追われる男
 芸人の光岡幸子が俳優の風間玲二主演の単館映画を見に行くと、その銀幕から風間玲二が飛び出して来た。何のどっきりかと戸惑う幸子。一晩彼女の家にかくまわれた後、玲二は姿を消す。再び彼が現れたのは半年後だった。

       …だから、私はどっきり番組は嫌いなんですってば。

 恋愛小説はお好き?
 入院中の姪っ子へのお見舞いに、と本屋に寄った塩見直哉は、そこの女性店員に恋をする。彼女をモデルに投稿漫画を仕上げる直哉。その漫画が載った雑誌を持って告白しようとした時、彼女はその書店を辞めて上京していた。後年小説家になった彼女は、自分そっくりのヒロインが載った漫画の存在を知り、その経験を小説にする。今は漫画家の夢を諦めていた直哉は、北海道の書店でその本を見かける。

 琥珀の中のコートダジュール
 美鈴にはただ一つ心残りがあった。十一歳の夏、好きだった男の子に想いが告げられなかったこと。もうすぐダムの底に沈んでしまう故郷の小学校を訪れ、美鈴は夏祭りの日を思い出す。まるで目の前で起こっているかのように。…

 べるさん、読めたよ~!
 ああ、やっぱりバカミス。もうオチが読めちゃうよ、ってものから予想する気力さえ失くすものまで。
 そして相変わらずのタイムパラドックスねたで締めくくり。
 きらきら眩しい著者近影も麗しいけど、でも一番笑ったのは表紙見返し、「オチがほとんど挿絵なので、ページをパラパラしないでください」の一文だった気がします。…よかった、これがなかったらパラパラしてたよ(苦笑;)。
 後書き読み始めてすぐ、「あ、メトロン星人…」と分かった私は何なんでしょう。詐欺に引っかかったのに後悔してなさそうですね。さすが蘇部さん!(←本気にするなよ;)