読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

さよならのためだけに 我孫子武丸著 徳間書店 2010年

 ネタばれになってるかも、すみません;

 ハネムーンから戻るなり、水元憲明と長峰月(ルナ)は“さよなら”を決めた。二人は全くそりがあわなかったから。けれど、少子晩婚化に悩む先進諸国は、グローバル国策会社、結婚仲介業のPM(パービリオン・マッチメイカー)社を創りだしていた。遺伝子判断による独創的相性判断で男女は結ばれ、結婚を維持しなければならない。しかもこの二人、判定は特Aで夫ときたらPM社員。会社に離婚を切り出した途端、あれやこれや妨害が始まった。
 憲明の両親は説得に来る、双方の親友が結婚や子供の良さをわざわざ語りに来る。洗脳まがいのカウンセリングまで受けさせられて、今度は疑問が浮かんでくる。何故こんなにも二人の離婚を阻止したいのか。
 月に横恋慕した憲明の先輩・乾雅晴や、憲明に色目を使う月の同僚・相澤深尋も巻き込んで、憲明と月はとうとうPM社の総責任者にまで辿り着く。PMの本当の目的とは。…
                                 (前半部分、表紙見返しの紹介文を引用しました)

 あ、これラクかも、とかココロザシの低いことを思ってしまいました(←こらこら;)。
 理想の相手をマッチメイク、ってそれいいなぁ。遺伝子がよりよい相手を選ぼうとする、ってのいつだったか話題になりませんでしたっけ。趣味や嗜好が違ってても、恋に落ちることだけならできるかもだし、「これが運命の相手!」って思い込みも後押しするだろうし。…ってまんまと私もPM社の戦略に乗ってるなぁ(苦笑;)。
 ただ、それによって生き方が画一的になるのは頂けませんが。この作品世界、えらく封建的というか保守的というか、今より価値観の押し付けが酷くなってますもんね。だからラスト近辺の月の、「PMの判定や世の中の風潮に流されてよく知りもしない人と結婚した自分自身がどうしても許せない」って台詞はすごく理解できました。
 ラストは予想がつきましたね~。でもこのまままた再婚したら「ほら見たことか」になりそうな…。PM社が結局正しかったとかの証明になりそうですね(笑)。