読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

GOSICK Ⅱ ―ゴシック・その罪は名もなき― 桜庭一樹著 角川文庫 2009年

 初出は2004年、富士見ミステリー文庫から。
 GOSICKシリーズ二冊目。

 〈“灰色狼の末裔”に告ぐ。近く夏至祭。我らは子孫を歓迎する〉
 不思議な新聞広告を見たヴィクトリカは、夜、学園を抜け出して山間の小さな村・ホロヴィッツにやって来た。勿論久城一弥も同行、教会のバザーで色々な装飾品を売っていた赤毛のシスター・ミルドレッドも何故か一緒。村に興味がある三人の美大生も連れ立って、夏至祭の間、六人は村長の館に泊まることに。
 そこはヴィクトリカの母・コルデリアがかつてメイドとして働いていた館だった。丁度二十年前、当時の村長シオドアが、背中の上部を背後から刺され、金貨の散らばる中死んでいたのだとか。部屋が密室だったことから、第一発見者のコルデリアが犯人とされ、彼女は村を追放された。その後コリデリアは放浪の末ブロワ侯爵と出会い、ヴィクトリカが産まれたのだと言う。
 夏至祭が済んだら客人は村を出される。それまでに母の無実を証明したい。ハシバミの実が投げつけられ、〈冬の男〉に見立てられた張りぼて人形が燃やされるその日、美大生二人が殺された。過去の密室殺人事件と現在の連続殺人事件、ヴィクトリカはどちらも真犯人を見つけ出す。…

 謎解きとしては多分、そんなに目新しいものじゃない感じ。気持ちがいいのは伏線の拾いっぷりですね。“灰色狼”の伝説、古代セイルーン人の消滅、夏至祭の過程。ラストの黄金の髑髏の扱いにもちょっとくすっと笑ってしまう。ヴィクトリカツンデレぶりも大したものですが、一弥の鈍さも筋金入りです。
 名もない村に電気を引き、おそらくコルデリアの家から何かを持ち去ったブライアン・ロスコーなる人物は、覚えておかなきゃいけないんでしょうね~。コルデリアは第一次大戦の裏で何をしたのか、これもいずれ語られるんでしょうか。