読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

狼と香辛料ⅩⅢ Side Colors Ⅲ  支倉凍砂著/文倉十イラスト  メディアワークス電撃文庫  2009年

 『狼と香辛料』、シリーズ13冊目。
 番外編の三冊目、短編4本収録。ネタばれになってるかな、すみません;

 狼と桃のはちみつ漬け
 宿が取れないほど活気溢れる町で、ロレンスとホロが見つけたのは桃のはちみつ漬け。念願の商品にホロの視線は釘付け、ロレンスも買ってやりたいがとにかく値段が高い。
 この先のルワイ村で水車設置の突貫工事が行われている様子、この町の景気のよさもそこに起因しているらしいと聞き付けたロレンスは、荷運びのアルバイトに精を出す。その間ホロはほったらかし、当然面白くない。その上そのバイト代では、桃を手に入れるのに何日もかかる。疲れ切って帰って来たロレンスに、ホロは別の商売を持ち掛ける。

 狼と夕暮れ色の贈り物
 シュミー銅貨には狼の彫り物がされていて、狼よけのお守りとしても珍重されている。だが実際狼に効果があるのは匂いのきつい香草の方、ロレンスはホロの助けをかりて匂い袋を作ろうかと薬屋へ入る。
 そのハナの効き方に惚れ込んだのは薬商の主人、数々の香草をホロに嗅ぎ分けて貰い、ホロも褒めあげられて満更でもない様子。ホロを薬商に置いて、ロレンスは別の場所に赴く。

 狼と銀色のため息
 とある町でロレンスは、相場の隙に気が付いた。数種類の毛皮を同じ町の中で売り買いするだけで、二割三割の儲けが出る。喜び勇んで駆け回るロレンス、やっぱりホロは酒場で一人きり。尻尾にはこの前道端で拾った、金属の飾りを着けている。

 羊飼いと黒い騎士
 教会都市リュビンハイゲンでの金密輸騒動の後、羊飼いをやめたノーラは、黒い牧羊犬エネクと旅に出ていた。目的地はクスコフ、疫病が流行り壊滅的な被害を受けた町。だがそろそろその脅威は去り、復興が始まろうとしている、町は人手を求めている。これを機にノーラは、幼い頃からの夢だった仕立て職人を目指すつもりでいた。だが途中、盗賊に襲われていた老人を助けたことで、彼女の運命は変わってしまった。
 老人の名はジョゼッペ・オーゼンシュタイン、クスコフに赴任するために来た司教。救い主だと町をあげて歓迎されたが、賊に怪我を負わされてしまった。折しも隣町レズールが、弱みに付け込みクスコフを乗っ取ろうとしていた。
 商人では理詰めで押されてしまう、教会が権威を持って交渉に当たった方がいい。だがジョゼッペは動けない。白羽の矢はノーラに立った。ノーラを助司祭に任じ、代わりに交渉に当たらせよう、と画策が始まる。…

 珍しくもホロの一人称までありました。あら、ただ食い意地が張ってるだけじゃなかったのね(笑)。ロレンスが大事に思ってくれる証明みたいなものだったのか。
 ノーラの夢は、結局叶いそうもないのね~。町が危機から脱した後、彼女はどう扱われるのか。せめて幸せに暮らせたらいいんですが。
 あとがきで作者が旅の終わりを匂わせていて、ちょっと驚きました。…終わらせるんだ! 何か延々続くような気がしていました! どう盛り上がるのか楽しみです。