読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

Another 綾辻行人著 角川書店 2009年

 綾辻さんの書く長編ホラー。
 ネタばれあります、すみません;

 1998年、「ぼく」榊原恒一は亡き母親の田舎・夜見山市で中学最後の一年間を過ごすことになった。その頃の事件のせいで東京の私立学校での居心地が悪くなったこと、父親の海外出張が重なったことが原因。だが転入早々、肺気胸が再発する。一か月近く入院生活を送ることになってしまった。
 祖父母は勿論、叔母の怜子や新しいクラスメイトまでお見舞いに来てくれるが、皆何かを隠しているよう。当たり障りなく「夜見山中学の七不思議」の噂をしていくが、どうもその裏には何かありそうだ。
 実際に登校し始めて驚く。三年三組のクラスメイトが全員で一人の女生徒を無視している。〈いないもの〉にされているのは見崎鳴、四歳の頃失った左目を眼帯で隠している少女。いじめとも違う雰囲気に恒一は戸惑う。病院で面識があったこともあって彼女に話しかけるが、周囲は「それはまずい」と言うばかりで、誰も明確な説明をしてくれない。6月になったら理由を言うと言ってくれていたのに、クラスメイトの女子が雨の日、階段を滑り落ちて持っていた傘で喉を突いて死んで状況が変わってしまった。
 以来、三組の周囲に死がつきまとう。以前から病気だったクラスメイトが死に、同じくクラスメイトの姉で恒一とも馴染みの看護士だった水野沙苗が事故死する。恒一が事情聴取を受けて教室に戻ると、今度は恒一まで〈いないもの〉として扱われるようになっていた。
 そうして漸く、恒一は鳴からこの状況の説明を受ける。夜見山中学三年三組には26年前、「ミサキ」と言う名の生徒がいたこと、事故で亡くなったその生徒を偲んで卒業まであたかもその生徒が存在するようにふるまったこと、卒業写真のアルバムにその生徒が写っていたこと。それだけならよくある怪談だが、その翌年から何故か三年三組にはいない筈の〈死者〉「もう一人」が増え、クラスに関わる人間に多くの死が訪れるようになったこと。
 それを防ぐ手段として、いつしかクラスの一人を代わりの〈いないもの〉として扱う慣習ができたこと。成功する時もあればしない時もある、その曖昧な「きまりごと」に何も知らない恒一が巻き込まれていたこと。
 鳴との密かな共有関係を楽しむ風でもあった恒一。だが7月、担任の教師が寝たきりだった母親を殺し教室で自殺するに及んで、事の重大さに気付く。恒一の〈いないもの〉は効かなかった。
 本当の〈死者〉は誰なのか。残っていた過去の証言から、〈死者〉を殺せば災厄は治まることが判る。夏休み、クラスメイトを集めた合宿では悪天候に見舞われた。疑心暗鬼の中、鳴は、自分の見えない左目は〈死者〉を判別できると切り出す。…

 綾辻さんお得意のホラー。手に取った時には分厚さにちょっと「おお…!」と思いましたが、読み始めると早かったですね。ホラーとは言え、最終的にはミステリーの要素も入れつつ。…判んなかったなぁ、ちっ(苦笑;)。
 「この中に一人…」と言うパターンは奥さんの小野さんもやってましたよね。あちらは座敷童子でしたが、こちらは災厄を呼ぶ死者、と言うことで。夏合宿、切り離された別荘を舞台に嫌でも盛り上がるクライマックス、「来た来た来た――!」って感じです。こういうのはやっぱりパターン踏襲しないとね(笑)。
 最初、ヒロイン見崎鳴が何故だか林原めぐみさんの声で聞こえました。『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイですね(笑)。後半になったらすっかり消えてましたけど。
 人形、美しい叔母さん、片目の美少女。綾辻さん、好きなもの詰め込みましたね(笑)。面白かったです。