読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

敗者復活 サンドウィッチマン著 幻冬舎 2008年

 M-1グランプリ2007で優勝した漫才師・サンドウィッチマンの自叙伝、になるのかな。同じ出来事を富沢たけし・伊達みきおのコンビ両方から描いた一冊。
 
 桜庭一樹さんの『お好みの本、入荷しました』で紹介されていた本です。あ、これは読みたいな、と思って図書館で探しました。蔵書あってよかった♪ そうそう、こう言う本出すのは幻冬舎だよね(笑)。

 面白かったです。この頃仕事で目を酷使してて、長時間パソコン画面見たり本読んでたりしたら辛いんですが、何だか一気に読んでしまった。
 話の内容が面白かったのは勿論ですが、読み進むに従ってだんだん頭に浮かんできたのは、「この本に編集さんはどこまで関わったんだろう」と言うこと。著者二人とどのくらい打ち合わせしたんだろう、二人同時にも、それぞれにも話聞いてるよね、できっとその中から取捨選択して「このエピソードについて書いて下さい」とか「このことについては必ず触れて下さい」とかリクエストしてるよね、話中に出た「そのフレーズ使って下さい」とかまで依頼してるかもしれない。二人とも忙しいのに、絶対次のチャンピオンが出る前には出さなきゃいけないタイムリミット本だし、この本が出来上がった時、担当してた編集さんもガッツポーズを取っただろうなぁ。
 
 富沢さんの声、意識的に作ってたんですね。響く声と言うか通る声、喉を広げて出る声。こんな所でも聞かせるための努力と言うか工夫がある。どんなに凄いこと考えてたって、伝わらなければ意味がない、ってのは爆笑問題の太田さんもよく仰ってますね。
 少し意外だったのが、関西の漫才師さんへのコンプレックス。関西に住んでると、TVなんかの中心は本当に関東と言うか東京なんだなぁ、としみじみ思ってしまうのですが。ゴールデンタイムの放送で関東ローカル番組の話題を平気で出す感覚、関西の芸人さんたちが口にする「東京進出」の言葉。抱える忸怩たる思いは関西の芸人さんの方が大きいと思ってたのですが、一方通行ではないんですね。
 あとは大手の芸能事務所、特に吉本興業に対する対抗意識。劇場を持ってる事務所の利点は、この次の2008年二位のオードリーも三位のナイツも羨ましがってましたっけ。大井競馬場で爆発しなかった優勝候補の吉本のコンビって誰なんだろう。…私が思ってる人たちなのかな。

 大井競馬場からテレビ局へ、お祭り騒ぎの敗者復活を勝ち上がって緊迫した決勝の舞台へ。出来レースだと思ってたなんて、それはどうだろう。決勝にしろ敗者復活にしろ、どのコンビを選んでも何だかんだ言われる立場にいる、そんな所にいる人の覚悟とプライドを私は疑えない。
 2008年、2009年の決勝進出者の名前が続々出て来るのも楽しかった。力がある人は仲間内からちゃんと認められているのが嬉しい。

 ブラックマヨネーズM-1勝戦のネタを封印したんですね~、それで決勝以降、あのネタ見なかったんだ。何だか吉田さんの意見に「好きにしたらいいやん」って言ってる小杉さんの図が浮かぶのは何故?(笑)  封印するしないはともかく、あまりに印象の強い演目は観客も覚えててやりにくい、とチュートリアルのお二人が以前言ってたのを思い出しました。そう言えばチュートリアルの「冷蔵庫」も「ちりんちりん」もその後見たことないし、笑い飯の「奈良県立博物館」も覚えがない。フットボールアワーの「SMタクシー」や「ファミリーレストラン」は、あちこちアレンジを加えて、漸く演じてくれるようになったような。休日昼間、TVで漫才番組見てる限りの印象ですけど。
 サンドウィッチマンのように、より練り上げて行くのも美学だなぁ。多分今年のパンクブーブーも同じタイプですよね。
 一昨年、オードリーの若林さんもM-1決勝当日のことをブログで文章にしていて、これも本当に「すげぇ…!」って内容でした。私が覗けたのはご本人がブログを封鎖する少し前、多分ぎりぎり間に合った位だったんですが、あれは幸運だったな、と今でも思います。「また更新します」「また更新します」と綴られた文章が完成したのはどのくらい経ってからだったのか。でもオードリーのこんな本は出ないよね、春日さんきっと語らないから(笑)。
 NON STYLEも、語らないかな。知りたいんですけどね。かっこよかったから。

 お正月のドリームマッチを見ても、サンドウィッチマンのお二人、好かれてるなぁと思います。仲間から認められるって凄いなぁ。