読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

獣の奏者 Ⅳ完結編  上橋菜穂子著  講談社  2009年

 最終巻。
 ネタばれになってます、すみません;

 二年後。
 エリンは竪琴を使い、リランを始めとする王獣たちを自在に操るようになっていた。だが、王獣の繁殖には真の意味では成功していなかった。リランとエク以外、リランの子供達も他から捕獲してきた王獣も全く発情する気配を見せない。王獣捕獲者の話を聞くうち、エリンは蜂社会にも似た王獣の構造に気付く。リランの娘アルをリランから引き離し、繁殖に成功する。
 王獣の生態を研究しながら訓練を施すエリンの姿は、息子ジェシにも影響を与えた。エリンの教えを受けて、ジェシもカザルム学舎への入学を決める。
 闘蛇の繁殖も成功する中、東方の隊商都市群の領有権を巡って、ラーザ国との戦が激化していく。相手国も闘蛇と言う武器を持ってしまった以上、エリンにも出兵命令が下るのは当然のことだった。真王セィミヤと共に、王獣達を連れてアマスルに向かうエリン。不意を突かれたこともあっていよいよ決戦の時は近付いていた。
 その頃カザルム王獣保護場を、緑と金の瞳をもつ人物・残った人々(カレンタ・ロゥ)が、戒律ノ民(アォー・ロゥ)ナソンに連れられて訪れていた。彼らはエサル師とジェシに、人の手で増やされた闘蛇の群れと王獣の間にかつて起こった悲劇を話す。ジェシは母を救おうと、身重のアルに乗ってアマスルへ飛ぶ。だがエリンは既に、ラーザの闘蛇軍へ向かって王獣を飛ばしていた。…

 …これはまぁ、壮絶なことになってしまったなぁ。
 ハッピーエンドになりそうもない感じは三巻からちらほらしていたので、意外ではなかったのですが。
 知識の隠蔽が起こした悲劇。それでもせめて、エリンが残したものが生かされているのが救いと言えば救いなのか。でも喉元過ぎれば何とやらで、人はまた同じ過ちを繰り返しそうなのですが。「自分なら大丈夫!」とか思い上がる輩が出て来て。
 そうそう、仄に窺わせるようなラブシーンにもちょっと驚いたんでした。エリンとイアルの関係は、何だか胸に痛いですね。