読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

空色メモリ 越谷オサム著 東京創元社 2009年

 ネタばれになってるかな、すみません;

 たったひとりで県立坂越高校文芸部を守る、ハカセこと河本博士に春が来た。なんと、可愛い新入生が入部してきたのだ。彼女の名前は野村愛美さん。部室に来てただ本を読んで帰るだけの地味なメガネ少女、だがハカセはもう夢中。なのにある日、駅前のファーストフード店で、学年一の人気者、バスケット部の新エース新谷友一郎と彼女のツーショットを見てしまう。入学して早々、ファンクラブまで作られたイケメン新谷と彼女の接点はどこにあったのか。
 新谷は新谷でバスケ部の先輩と暴力騒ぎを起こし、5日間の停学を食らう。その間野村さんは、部活を休んでまで新谷の自宅に足繁く通っていた様子、それでもハカセの片思いは収まらない。そのうち、野村さんがクラスでいじめにあっているらしい現場を目撃する。彼女の靴が何度も盗難にあい、とうとうハカセは犯人捜しに乗り出す。
 そんなこんなを記録していたのが「おれ」桶井陸。太った体型にコンプレックスを持ち、かつて女の子に手ひどく振られた経験を持つおれは、文芸部でもないのに部室に入り浸る毎日。備品のパソコンを勝手に使って、空色のUSBメモリに、ハカセの恋を始めとする、日々の出来事を書き込んでいた。
 何しろ日記のようなもの、決して人には見せられない見せたくない、自分の感情や周りの人々の評価まで赤裸々に書いていたら、その〈空色メモリ〉が盗難にあってしまった。
 一緒に携帯も見られたらしく、犯人からは脅迫まがいのメールが届く。曰く、〈空色メモリ)を公開されたくなかったら、野村愛美を文芸部から追い出せ。
 靴盗人は誰なのか。野村愛美の友人・宮原サキも巻き込んで張り込みが始まるが、陸は気が気ではない。〈空色メモリ〉が公表されたら、自分だけではない、ハカセや野村さんまで傷つけてしまう。脅迫者は身近にいるのか、愛美を追い出してどうしようと言うのか。〈空色メモリ〉公開の期日が迫る。…

 越谷さんお得意の青春小説。
 相変わらず、細かい突っ込み所は満載(笑)。新谷くんと野村さんの関係も、もう言っちゃえよ、何だかなぁな感じ。犯人に当たりを付ける根拠とかどうも弱いし、脅迫文の差出人の正体も「…え?」だし。野村さんを文芸部から追い出したかった理由って、結局何だったっけ?(笑)
 でも妙に爽やかなんだよなぁ。野村さんの相談にもサキちゃんの愚痴にも付き合って、陸くんまるでカウンセラー(笑)。汗を気にするより、痩せた方がいいとは思うけどね。
 ちらりと出て来た先生の語る「一とゼロの差は、一と百万の差よりもずっと大きいんだよ」ってのは、私も何となく分かる気がしました。