読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

元気でいてよ、R2-D2。 北村薫著 集英社 2009年

 ホラー短編集。…になるのかな?

 マスカット・グリーン
 涼子は出版社に勤務している。夫も同じ出版社で、結婚して十年以上。何の問題もないと思っていたが、同僚から嫌な情報を受けた。夫に付きまとっている若い女がいるらしい。何となく気になって、噂の彼女の後をつけてしまう涼子。彼女に続いて足つぼマッサージの店に入った涼子は、ふと朝夫と交わした会話を思い出す。

   …こんなことでぴん、と来る涼子さん凄いよ。私なら多分気がつかない。←つくづく、女として
   どうよ、って感じですね(笑)。と言うか、男ながらこれを書く北村さん、凄い(笑)。

 腹中の恐怖
 白萩加奈の元に消印のない手紙が届いた。見知らぬ女性から、自分の息子があなたの後をつけたりしていた、という内容の手紙。その息子はもうこの世の人ではないらしく、もう一通、その息子から加奈への手紙が同封されていた。

   …この内容を信じる気はなくても、産まれてくる子供を無条件に愛することは、
   もうできないだろうなぁ;

 微塵隠れのあっこちゃん
 小学校の頃、あつ子は落ち葉に隠れて遊ぶのが好きだった。今、社会人になったあつ子はデザイン会社に勤務、代理店の五堂と言う男に振り回されている。理不尽な要求をする五堂に、あつ子は昔よくやった「微塵隠れ」の遊びを思い出す。

 三つ、惚れられ
 陽子は会社の後輩の亜梨沙から、島谷課長が好きなのかと尋ねられた。何でも島谷が社内でそう触れまわっているらしい。事実無根の話に不愉快になる陽子だが、むきになって否定するのもかえって疑惑を抱かれそうだ。無視するしかない状況にストレスが溜まる。

   …この女の子凄い。よくこんな復讐手段思いつくとも!

 よいしょ、よいしょ
 瞳は大学生の頃、短編小説を書いて雑誌に入選したことがある。いくつかの取材を受けた後、危うく身の危険を感じたこともあり、次の作品が書けなくなった。その後結婚して子供も産まれ、今日はその授業参観日。大きくなった息子は母親が目立つのを嫌がっているようだ。

 元気でいてよ、R2-D2。
 TV番組の編集をしている彼女が、女友達に語る取りとめのないこと。今はもういないやり手のディレクター、住んでいるアパートをもうすぐ引っ越す理由。
 
 さりさりさり
 学生時代の友人の結婚式に呼ばれた。郷里に帰っていた詩織は、結婚している姉の家に泊まらせてもらう。ついでにコンサートに行く予定だったが、潰れてしまった。姉の旦那が、美術館を案内してくれると言う。

   …実はこの話、よくわからなかったんですけど。と言うか、もし私が解釈する内容があってるなら、
   このお姉ちゃん凄く怖いんですけど;

 ざくろ
 60になるとコヨミが元にかえって、生まれた年と同じになる。小学6年のことを昨日のことにように思い出す。…

 日常の些細なことから不可思議なことまで。「嫌」と言うより「厭」なことを集めた感じ、北村さんこんなことよく思いつくと言うか観察してるよなぁ; どれも本当にありそうで、眉間にシワが寄ってしまう; こんな厭な話なのに(苦笑)、「読ませる」力はさすがです。