読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

鹿男あをによし 万城目学著 幻冬舎 2007年

 万城目さん、デビュー2作目。
 ネタばれになってるな、すみません;
 
 大学の研究室で同僚と反りが合わず、「神経衰弱」と揶揄された「おれ」は、一旦奈良の女子高・奈良女学館に物理の非常勤教師として赴任することになった。
 赴任早々、受け持った1-Aクラスの女子が一人遅刻して来る。堀田イトと言う魚顔の美少女は、何故かおれに敵意むき出し。遅刻の理由を訊かれてマイシカで駐禁を取られたなどとうそぶき、教室の後ろの黒板におれの行動をいちいち書き出す嫌がらせをする。いい加減いらいらしている「おれ」に話しかけて来たのは、何と一頭の雌鹿だった。
 何故か渋い中年男の声を持った雌鹿は、おれが“運び番”に選ばれた、などと訳の分からないことを言い出す。曰く、近々おれは狐の使い番から“目”と呼ばれる神宝を渡される、それを自分に渡して欲しい、それを使って「鎮めの儀式」を行うのだからとのこと。だがその儀式がどんな意味を持つものなのか、詳しい事はまるで説明がない。戸惑いながら参加した大阪・京都の姉妹校との懇親会で、おれが京都女学館の教師、マドンナこと長岡先生から渡されたのは、今度三校間で開かれる交流戦・大和杯での注意書きのみ。それらしいものは受け取らなかったと言うおれの主張は雌鹿には受け入れられず、雌鹿は“目”を何としてでも手に入れろと言う。
 どんな物かもわからないものを探せと言うのか。雌鹿のヒントは、それがこのごろ「サンカク」と呼ばれている、と言うことだけ。どうやら剣道部の優勝プレートがそれらしい、と思い当たったおれは、何とか優勝を目指そうとするが、奈良女学館の剣道部は団体戦に参加する人数もなかなか揃わないような弱小部。だがそこに、堀田イトが入部してくる。
 家が剣道場だと言う堀田は強かった。接戦の末、優勝プレートを勝ち取る堀田。だが雌鹿はそれも“目”ではないと言う。
 漸く得られた説明では、“目”は大阪の鼠、京都の狐、奈良の鹿の元を60年に一度巡ることで地下の大なまずを、ひいては大地震1800年の間押さえつけているのだとか。信じたくはないが静岡では地震が頻発し、プレートも動いている様子。マドンナはおれを不信の目で見るし堀田は学校を辞めたいと言って来るし、事態はおれの手に負える状態ではなさそうだ。おまけに雌鹿に「印」なるものを付けられたおれと堀田の目には、自分達の頭部がすっかり鹿になって映っている。
 やたらかりんとうを勧めて来る隣席の藤原先生(歴史担当)、やたらダンディな小治田教頭(専門は考古学)、おれが下宿している先の息子で美術を受け持つハンサムで穏やかな重さん。突破口を開いてくれたのは藤原先生の知識と重さんの写したポラロイド写真だった。
 「サンカク」とは何を意味するのか、儀式を邪魔している“鼠の使い番”は誰なのか、その目的は。期日はいよいよ迫って来た。…

 先にドラマで見てしまった『鹿男あをによし』。雌鹿の声はすっかり山寺宏一さんで聞こえました。おまけに佐橋さんの音楽まで脳内に流れてましたし(笑)。藤原先生、男だったんですね~。
 あまり文章お上手ではないかもしれない、とちょっと失礼なことを思いつつ。何しろほとんど内容を知ってることになるんですもの、ぐいぐい引っ張られると言う訳にはいかなくてですね。やっぱりドラマより先に読みたかったかも。でも最後、鼠の使い番は誰なのか判明する辺りのエピソードは違ってましたね。
 京都の着倒れ、大阪の食い倒れは知ってましたが奈良の寝倒れは知らなかったなぁ。確かに落語の演目で鹿の死体が…ってのあったっけ。ちなみに神戸は履き倒れ、靴の町です。
 さて次の作品の舞台は大阪でしたね。まだまだ予約は多そうです。