読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

脇役スタンド・バイ・ミー 沢村凛著 新潮社 2009年

 連作短編集、少しミステリー。
 ネタばれになってるかなぁ、すみません;

 第一話 鳥類憧憬
 30代の半ばを過ぎてパラサイトシングルの阿部千秋。昨年仕事を辞めて以来、マンションの一階で両親と暮らしている。ハトの糞害に悩む住人が多い中、近所のおばあさんが公園でハトに餌をやるのを見てしまった。しかも少々呆けが来ているその老女の家で、留守番をして欲しいと依頼される。重力からの解放を思い、鳥を羨ましがる老婆を力づける千秋。その五日後、老婆が三階のベランダから飛び降りて死んだとの知らせが届く。自分の所為かと悩む千秋は、警察へ様子を聞きに行く。…

 第二話 迷ったときは
 ポリアンナの「よかった探し」と哲学者ジンメルの「至上の処世術は、妥協することなく適応することである」、大学の先輩からの麻雀時のアドバイス「迷ったときはツモ切り」を座右の銘にしている「私」北里花梨。谷伸悟と言う彼氏がいながら、取引先の会社員・吾妻さんにも少し惹かれている。会社のDM用名簿をコピーしたら、中身が何故か女性の写真になっていた。しかも最近巷で話題になっている連続婦女殺人事件の被害者のデスマスクのようだ。いつの間に、何故こんなものが会社の自分のパソコンに入っていたのか。迷った末、花梨はCD-Rを持って警察に向かう。

 第三話 聴覚の逆襲
 弓月友一はアパートの二階の住人の生活音が気になって仕方ない。だがその住人・関口茜が殺人事件の容疑者として疑われているとなると話は違う。間違いなく彼女が毎日立てる音だと言う友一のアリバイ証言を、警察は信じていない様子。友一は恋人の克美に引っ張られるように事件を調べる。殺された男と三角関係にあったもう一人の女性には何人もの目撃証言があった。

 第四話 裏土間
 楢本宏武はいわゆるおせっかいやきで、そのため妻に鬱陶しがられて離婚し、失職し、近所の評判も落して引っ越す羽目になった。今度こそ何にも関わるまいと思った矢崎、裏の家の土間で少女が寝ているのを見てしまう。何故あんな所で女の子が一人寝袋で寝ているのか。監禁されているのではないか。それなら警察に届けた方がいいのではないか。それとも勘違いなのか。意を決して、楢本は派出所に出向く。

 第五話 人事マン
 定年間際、再雇用対象者の大畑が殺された。人事部の飯田は葬儀で、生産技術部の藤沼を見かける。二人に直接の関係があったとは思い難い。藤沼も今年退職、再雇用を望んでいたが、ただ一度「譴責」を受けた過去があってそれは叶わなかった。剛毅木訥を地で行く藤沼に何があったのか。気になった飯田は調べていく。

 第六話 前世の因縁
 辻谷純平は「前世占い」なるものをすると言う秋本水音と言う女性に引っかかってしまった。バイト先で自分の占いを宣伝してくれ、という彼女。果たして、バイト仲間の磯村が彼女に相談に行くと言う。今さらながらの胡散臭さに、純平はたまらず幼馴染みの兄貴分・早坂賢朔に相談した。賢朔は少し前に起きたタクシー強盗もからめ、彼女の行動理由を探る。

 最終話 脇役の不在
 警察不信の峠知鶴を説得し、警察署に向かう賢朔と純平。そこには脇田刑事に所縁のある人が、大勢集まっていた。…

 …沢村さん、ファンタジー書こうよ、ファンタジー
 と思いつつ予約を入れた新刊です。
 第一話の「重力に負ける」ってのは身につまされるなぁ。私も頬っぺたコケてきてるのが哀しい; 仕事辞めてた間の後ろめたさとかも凄く覚えがありました。うちもやはり母親が「働かなくてもいいよ」と言ってくれたので。…いや、それに甘えちゃいけないんですけどね、逃げ場があるのは嬉しいことです。
 お話全体的には、やっぱりちょっと無理がないかい、と思ってしまう所もありました。するする読み易いのは読み易かったんですけど。やっぱりファンタジー書いて欲しいなぁ(苦笑;)。