読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

恋文の技術 森見登美彦著 ポプラ社 2009年

 守田一郎は京都の大学から能登半島の実験所へ派遣された大学院生。毎日谷口さんから無知無知野郎と罵倒されつつ、クラゲの研究に勤しんでいる。京都に帰るまでの半年間、守田はとにかく手紙を書きまくる。
 友人・小松崎の恋の悩みに乗る。
 先輩・大塚緋沙子女史にはもてあそばれる。
 家庭教師をしていた小学四年生の間宮くんには妙なことを吹き込む。
 偏屈作家・森見登美彦の愚痴につきあう。
 本質を鋭く見極める妹・守田薫には見栄を張る
 気になる伊吹夏子さんへは恋文を書こうと努力しつつ、結局出せない書簡を書き溜める。…

 すごい、手紙だけで小説になってる!
 登場人物の相関関係や行動、性格まで浮き上がってくるのは本当にお見事。 
 これだけ手紙書けたら凄いよ、守田くん。あちらこちらにふらふらしつつ、失敗書簡も積み重ねつつ、片思いの女性に見られたくない姿も見られつつ、最終的に書き上げた伊吹さんへの手紙の何と微笑ましいこと。思わずにやけてしまいました。
 やっぱり森見さんの書く女性ってチャーミングだなぁ。大塚さんでさえ可愛らしい(笑)。実験でお茶目な失敗をするのは単なる不器用と準備不足が原因、ってのは身に覚えがあって痛かったわ(苦笑;)。
 きっとこの恋は実るんでしょうね。大塚さんも結局応援してるみたいだし。他人が恋路で煩悶してるのを面白がってるだけかもしれませんが(笑)。
 高等遊民には私もなりたいなぁ。